◇ 現代の中国における
歴史意識には、
1800年代半ばから
1900年代半ばまでの、
「恥辱の一世紀」が
重くのしかかっている。
中国人はこの期間を、
中国が攻撃され、
そして帝国主義者たちの
手によって、
ばらばらに切り裂かれて
しまった時代として、
記憶に留めている。
◇ 中国では多くの国々とは
比べることができないほど、
現在の中に
「過去が生きている」
確かに一般論として、
国を問わず、
時は過去の記憶を癒やしてくれる。
時間の経過ともに少しずつ忘れる。
しかしどんな社会でも、
かつて国民が体験したことを
若年層に忘れてほしくないと願う、
一部の人々、教育者、
エリート層、国家首脳 が必ずいる。
そしてどの国でも、
人々がひとつの国民として、
いかにして今日あるようになったか、
その歩みの物語が語り継がれる。
そしてその物語が
創り出される過程では、
国民に何を記憶させ、
何を忘れさせるか、 という
取捨選択が決定的に
重要なポイントとなる。
◇ 中国の若者たちは、
国家の政策により、
よりナショナリズムに
傾倒しつつある。
なぜそうなのか?
台頭しつつある
ナショナリズムの
最前線にいるのは、
老人ではなく
若者たちなのだ。
そんな若い世代は、
軍事的な戦争を
直接経験していないのに
不思議な話ではある。
なぜなのか?
歴史的記憶は、
すでに国民の
「深層文化」の中に、
確固たる社会規範として
組み込まれていて、
人々の考え方や行動に
影響を及ぼし続けるのである。
◇「深層文化」とは、
私たちが自分の体験を
解釈する際に用いる意味づけ、
価値観、規範、意識されざる
無意識的な枠組みを指す。
無意識の領域に
入り込んだ認識ほど
恐ろしいものはない。
中国の若者たちは、
小さいときから、
無意識の領域に
刷り込まれていくのである。
中国が力を振るうとき、
そのあり方を左右する
最大の要素のひとつが
「歴史的記憶」であり、
その「歴史的記憶」は、
中国の政界や対外関係を
理解するための鍵となるのである。
つづく
今日一日の人生を大切に!
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