中国人の歴史認識④   vol.1113

◇ 現代の中国における

  歴史意識には、

 

 1800年代半ばから

 1900年代半ばまでの、

 

 「恥辱の一世紀」

  重くのしかかっている。

 

中国人はこの期間を、

 

中国が攻撃され、

 

そして帝国主義者たちの

手によって、

 

ばらばらに切り裂かれて

しまった時代として、

 

記憶に留めている。

 

◇ 中国では多くの国々とは

  比べることができないほど、

 

 現在の中に

 「過去が生きている」

 

確かに一般論として、

 

国を問わず、

時は過去の記憶を癒やしてくれる。

 

時間の経過ともに少しずつ忘れる。

 

しかしどんな社会でも、

 

かつて国民が体験したことを

若年層に忘れてほしくないと願う、

 

一部の人々、教育者、

エリート層、国家首脳 が必ずいる。

 

そしてどの国でも、

人々がひとつの国民として、

 

いかにして今日あるようになったか、

その歩みの物語が語り継がれる。

 

そしてその物語が

創り出される過程では、

 

国民に何を記憶させ、

 

何を忘れさせるか、 という

 

取捨選択が決定的に

重要なポイントとなる。

 

◇ 中国の若者たちは、

     国家の政策により、

 

 よりナショナリズムに

 傾倒しつつある。

 

なぜそうなのか?

 

台頭しつつある

ナショナリズムの

最前線にいるのは、

 

老人ではなく

若者たちなのだ。

 

そんな若い世代は、

軍事的な戦争を

直接経験していないのに

不思議な話ではある。

 

なぜなのか?

 

歴史的記憶は、

すでに国民の

「深層文化」の中に、

 

確固たる社会規範として

組み込まれていて、

 

人々の考え方や行動に

影響を及ぼし続けるのである。

 

「深層文化」とは、

 

 私たちが自分の体験を

 解釈する際に用いる意味づけ、

 

価値観、規範、意識されざる

無意識的な枠組みを指す。

 

無意識の領域に

入り込んだ認識ほど

恐ろしいものはない。

 

中国の若者たちは、

小さいときから、

 

無意識の領域に

刷り込まれていくのである。

 

中国が力を振るうとき、

 

そのあり方を左右する

最大の要素のひとつが

「歴史的記憶」であり、

 

その「歴史的記憶」は、

中国の政界や対外関係を

理解するための鍵となるのである。

            つづく

 

 

今日一日の人生を大切に!

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