『戦国策』の中の印象深い話   vol.818

「戦国策」:  前漢末の学者劉向(りゅうきょう)が、

                    皇帝の書庫にあった「国策」「国事」

                   などの竹簡を編んで作ったのが『戦国策』

                 「戦国時代」という言葉はこの書に由来する。

 

魏の国の安釐王が隣の趙という国を

   攻めようとしたときのこと。

 

 魏の季梁という「説客」は、

 たまたま諸国遊説の旅に出ていて

 国を留守にしていたが、

 

この噂を聞くと、慌てて帰国し、

安釐王に面会を求めた。

 

季梁としては、なんとかこの戦争を

  中止させようと考えていた。

 

しかし、初めはそんな素振りなど、

おくびにも出さない。

 

彼は安釐王に会うや、

まずこんな例え話を始めた。

 

今、帰ってくる途中で、

 1人の男に会いましたが、

 

車を北へ走らせながら、

 

『楚の国に行くつもりだ』

 

と申します。

 

『南の楚の国に行くのに、

 なぜ逆に北へ向かっているのか』

 

と聞きますと、

 

男は、

 

『馬はとびきり上等だ』

 

と申します。

 

『良い馬かもしれんが、

   道を間違えている』

 

こう言いますと、

 

『旅費もたっぷりある』

 

と申します。

 

『そうかもしれんが、

  道を間違えている』

 

重ねて忠告しますと、

 

男は、

 

『良い御者がついている』

 

と答えます。

 

こう条件が揃っていれば、

ますます楚から遠ざかっていくだけです。

 

安釐王が思わず膝を乗り出したところで、

季梁はおもむろに本題に入った。

 

ところで、今あなたは

 天下の信頼を得て覇王になり、

 天下に号令しようと考えておられます。

 

国の大きいこと、

軍の強いことを頼んで、

 

隣の国を攻め、領土を広め

名声を得ようとしておられます。

 

しかし、今ここで下手に動けば、

それだけ覇王の道から遠ざかりましょう。

 

それはちょうど、

楚の国に行こうとしながら、

 

逆の方向の北へ車を走らせているような

ものではありませんか。

 

季梁の話は、

 基本方針を誤っていれば、

 

 いかに努力しても、

 否、努力すればするほど、

 

目的から遠ざかってしまうことを教えている。

 

我々もともすれば

 この話しのように

 同じ過ちを犯しがちだ。

 

仕事においても、経営においても、

人生を生きていく上においても、

 

絶えず基本方針の確認を怠ってはならない。

 

でないと、せっかくの努力も、

骨折り損になりかねないのである。

 

 

今日一日の人生を大切に!

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください