精一杯重い荷物を背負って、
下りのエスカレーターの階段を
一段一段登るような、
そんな努力をした男です。
小林照幸「土俵の真実」
◇ その「男」とは 大相撲の元大関、
初代貴ノ花である。
細身ながら内側にバネを蔵したような
均整のとれた身体と、端正なマスクで
「角界のプリンス」と呼ばれた。
背負った「重い荷物」とは、
恵まれたとは言えない小柄な身体であり、
名横綱・初代若乃花を実兄にもった重圧であり、
大相撲の人気を一身で支える責任の重さであり、
病気とけがの数々であった。
千代の富士(現・九重親方)のように、
平幕力士が1年後には横綱になった
例もあるが、貴ノ花は横綱になれなかった。
(2005年5月30日死亡)
◇ 大相撲の横綱稀勢の里(32)が
初場所4日目の16日、
現役を引退することを決めた。
昨年9月の秋場所千秋楽から続く
連敗が8に伸び、
横綱のワースト記録を更新していた。
稀勢の里は茨城県牛久市出身。
15歳で角界入りしたたたき上げで、
馬力を生かした突き押しで
スピード出世して、
貴花田(のちの横綱貴乃花)に次ぐ
昭和以降2番目の若さで新十両(17歳9カ月)、
新入幕(18歳3カ月)を果たすなど、
早くから将来を嘱望された。
◇ 世の中には、
高速エレベーターの乗客がいて、
すぐ隣の下りのエスカレーターを
必死に登る人がいる。
相撲に限らず、どの分野でも
人生は不公平にできているもの。
会社が悪い、いい上司に恵まない、
仕事が忙しい、給与が安い 等
自らの宿命を嘆いても
実るものは何もない。
「つべこべ言わずに黙って登れ」と、
天国からその人の声がする。
いや、もうそういう時代でもないか。
<今日の名言>
人生は10段変速の自転車のようなもの。
自分がもっているものの大半は使ってない。
チャールズ・シュルッツ
*自分が持っている可能性を
信じられる人だけがそのピンチを
くぐり抜けることができる。
さあ、使ってないギアに
勇気を出して入れてみましょう。
今日一日の人生を大切に!
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