ノスタルジーをかきたてる「赤色エレジー」 vol.312

 

◇ 林静一の代表作「赤色エレジー」は、

     新宿区の中井、下落合あたりの

     神田川沿いが舞台だ。

 

漫画家を目指す青年、一郎と

恋人、幸子の同棲生活を描いた、

1970年代の漫画を代表する名作だ。

 

先日、都内の古本屋で目に飛び込んできた

懐かしい1冊を買ってきた。

 

そういえば、本作をモチーフにした、

あがた森魚の歌「赤色エレジー」も当時大ヒットした。

 

それにしても、この漫画は暗い。

 

  とてつもなく 暗いのだ。

 

狭いアパートの一室。

 

幸子は暖をとるため、コンロに手をかざす。

 

そばには小さなマッチ箱。

 

この現実がまさに昭和なんだ。

 

これこそが昭和なんだ。

 

この昭和な設定、描写が

ノスタルジーを掻き立てる。

 

◇ 狭い四畳半の物語が、

 限りなく広がってゆく。

 

喧嘩し、傷つけあいながらも愛し合う2人。

 

時間がただサラサラと流れていく。

 

夢と挫折、

貧しさ、現実の残酷さ、

哀しみ、生活苦、

 

それを一枚でこんなに美しく描けるなんて。

 

あのメロディーが頭の中でうごめく。

 

若さがあるから乗り越えられるのか、

 

愛があるから乗り越えられるのか、

 

明日が見えないから耐えられるのか。

 

一郎と幸子のエレジー(哀歌)が、

トンビの心を締め付ける。

 

今日一日の人生を大切に!

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