◇「賽(さい)は投げられた」
ガイウス・ユリウス・カエサルが
紀元前49年1月10日、
元老院のグナエウス・ポンペイウスに
背き軍を率いて南下し、
北イタリアのルビコン川を通過する際に
言ったとして知られる有名言葉である。
意味は「サイコロが振られた」のであり、
(もはや運命に向かって事は進み始めた)
「後退はできない」といった意味になる。
香港国家安全維持法は、
習近平にとってまさに
「賽は投げられた」ということだった。
◇ 1984年12月19日に、
英中共同声明が発表され、
イギリスは1997年7月1日に
香港の主権を中華人民共和国に返還し、
香港は中華人民共和国の特別行政区と
なることが明らかにされた。
共産党政府は鄧小平が提示した
一国二制度(一国両制)をもとに、
社会主義政策を2047年まで
香港で実施しないことを約束した。
◇ 鄧小平は中国を変えた。
「白猫でも黒猫でも
鼠を捕るのが良い猫だ」として、
イデオロギーにとらわれず、
経済発展に役立つことを評価しようとした。
これは清濁併せ飲むことを意味し、
多様性を尊ぶことも意味している。
何しろ、鼠さえ捕ればいいのだから。
香港人は、おおむね
中国への復帰を歓迎していた。
一国二制度なら生活の実態は
それほど変わらない。
また、中国が一国二制度を守らなければ
英米が許さないだろうから、
それなら植民地で居続けるより、
同じ民族との国家に帰りたいといったものだ。
◇ ここ20年の中国の台頭を、
華僑など国外の中国人たちは
おおむね歓迎してきた。
今は共産党独裁の国家だが、
自由主義経済を事実上は受け入れたことで、
いずれは政治も自分たちが
住んでいる国々と似た体制になることを
期待してきたのではないか?
そうすれば、同じ民族として
協力発展できる可能性も大きくなる。
◇ ところが、香港国家安全維持法は、
中国中央政府あるいは香港当局への
「憎悪」を誘発する行為は、
犯罪とみなされる可能性があるなど、
複数の行為を犯罪とみなし、
最高で無期懲役を科すとしている。
そして、中国大陸側の保安担当者が
香港で合法的に活動することを
認めているのである。
つづく
今日一日の人生を大切に!
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