春の歌 vol.726

「万葉集」に、

    桜と雨を詠んだ歌がある。

 

春雨に 争いかねて 我が宿の 

桜の花は 咲きそめにけり 

 

つぼみを開かせようとして

   降ってくる春雨に逆らいきれずに、

   我が家の庭の桜の花が咲き始めた」

 

こうして花をさかした春雨だが、

    いったん花が咲いてしまうと、

 

今度は、春雨が花を散らしてしまうかと

心配になる。

 

人間はわがままなもの。

 

春雨は いたくな降りそ 桜花 

いまだ見なくに 散らまく惜しも

 

ここでは、

 「春雨よ、はげしく降らないでください。

   私は桜の花をまだ見ていないのに、

   散ってしまったら惜しいことです。」

 

と詠まれている。

 

こうして日本人は、はるか昔から、

この春の雨をいとおしんできた。

 

天地(あめつち)に きざし来たれる 

ものありて 君が春野に 立たす日近し

 

平成24年2月に

    冠動脈バイパス手術をされた

    上皇陛下の回復を願って、

    上皇后さまが詠まれた御歌。

 

上皇后さまは、

手術の執刀を担当した天野医師の

「春になればきっとご回復なさいます」

という言葉を信じて、

春の訪れをお待ちになった。

 

今年もいよいよ桜が咲く季節なった。 

 

一度きっりのこの人生で、

あと何回この桜の花をみることができるのか。

 

思ったより多くはない。

 

<今日の名言>

大王が海賊に、

「海を荒らすのはどういうつもりか」

と問うたとき、

 

海賊は少しも臆することなく、

 

陛下が全世界を荒らすのと同じです。

   ただ、わたしは小さい舟でするので

 盗賊とよばれ、

 陛下は大艦隊でなさるので、

 皇帝とよばれているだけです」

と答えた。                 

          アウグスティヌス「神の国」

  

*たとえ大義名分があっても

    やっていることは同じ。

   何事も本質を見極めることが大事。

 

 

今日一日の人生を大切に!

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