朝鮮戦争の捕虜から学ぶ「コミットメントの一貫性」   vol.143

 

◇朝鮮戦争の間、多くのアメリカ人の捕虜が、

中国共産党が管理する捕虜収容所にいました。

 

同盟国北朝鮮が捕虜に暴力的な

罰を好んで使ったのに対し、

中国の捕虜の扱い方は、

北朝鮮とはまったく異なっていました。

 

中国共産党は残忍に見られることを

避けるために、「寛容主義」と名付けた

方策を採用していたのです。

 

それは捕虜に対する

計画的かつ洗練された「心理攻撃」でした。

 

中国で何が起こったのかを

明らかにするために、

戦後アメリカ心理学者たちは、

帰還した捕虜たちに詳しく質問しました。

 

たとえば、

 

「あなたはどうして中国人に

    脱走計画を密告したのですか?」

 

  「あなたが密告したため、

     脱走計画はすぐにばれてしまい、

    脱走はほとんど失敗に終わったんですよ」

 

 アメリカの研究者エドガー・シャインの

 聞き取り調査によると、

 

「密告した者には誰でも米を一袋与えられたので、

    脱走が実際に起こっても簡単に 連れ戻されて

    しまうことが多かった」

 

 と書いています。

 

実際、中国の収容所にいたすべての

アメリカ人捕虜が、なんらかの形で

敵に協力したといわれています。

 

◇ 捕虜収容所のプログラムの検討から、

捕虜から望ましい承諾を得るため、

中国人が「コミットメントの一貫性」

という手法をうまく利用していたことが

わかってきました。

 

肉体的な暴力はほとんど使わないで、

どうしたらそのような捕虜たちから

軍事情報を聞き出し、捕虜仲間の情報を

密告させ、公然と母国を非難させる

ことができたのでしょうか?

 

中国人の答えは基本的なものでした。

 

小さいことから始めて、そこから築き上げよ。

 

◇ では「コミットメントの一貫性」とは

どのような手法でしょうか?

 

「自分がすでにやったことを一貫していたい、

    そして、一貫していると見てもらいたい」

 

という欲求によるものなのです。

 

人間は、ひとたび決定を下したり、

ある立場を取ると、そのコミットメントは

一貫した行動を取るように、

個人的にも対人的にも圧力がかかります。

 

そのような圧力によって、

私たちは「前の決定」

正当化するように行動します。

 

考えていることや言っていることと

実際の行動とが一致しない人は、

裏表のある人だとか、

頭がおかしいのではないかと

疑われてしまいます。

 

一方、それらが一貫している人は、

人格的にも知的にも優れていると

考えられるのが普通です。

 

一貫性こそ、論理性、合理性、安定性、

そして誠実さの核心をなすものなのです。

 

研究によると、インタビューに応じる

という最初の小さなコミットメントが、

「骨髄や臓器の提供」といった行動を引き出す

「承諾のきっかけ」となりうるのです。

 

◇多くの企業もこの方法をよく用いています。

 

 たとえば

営業の社員の場合は、

まず小さなものを買わせることから始めます。

 

その目的は利益を得ることではありません。

 

その目的は「コミットメントさせる」

ことにあります。

 

コミットメントをしてもらえば、

そこから自然ともっと大きな購入に

つながる可能性があるからです。

 

「小さな注文をとることから始めて、

    そこから商品全体へと拡大して

     ゆくための道を開く」

 

というのな考え方が大変重要です。

 

◇このように小さな要請から始めて、

関連する大きな要請を最終的に

承諾させるというやり方は、

 

「フット・イン・ザ・ドア・テクニック」

 

と呼ばれています。

 

扉に足を突っ込み、徐々に扉を開いていく 

そんなイメージです。

 

行動を含めて一旦コミットメントを

してしまうと、

自己イメージには、二つの面からの

「一貫性圧力」がかかります。

 

ひとつは

「自己イメージを行動に

              合わせようとする圧力」

 

そしてもうひとつは

 

「他者が自分に対して抱いているイメージに、

           自己イメージを合わせようとする圧力」

 

この2つの圧力がかかるのです。

 

相手 に襲いかかるこの得体の知れない

「一貫した圧力」を利用して、

営業やその他の行動につなげていくのです。

 

相手の頑な心を徐々に開いていく

  「テクニック」

あなたもこのテクニックを利用しては

いかがでしょうか?

 

今日一日の人生を大切に!

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