「男はつらいよ」冒頭の語り vol.241

 

◇ 寅さんの「名言」を長い間続けていますが、

本日は記念すべき第1作「男はつらいよ」の

「冒頭の語り」を紹介します。

 

桜が咲いております。

懐かしい葛飾の桜が今年も咲いております……

 

思い起こせば二十年前、つまらねぇことで

親爺と大喧嘩、頭を血の出るほどブン殴られて、

 

そのまんまプイッと家をおん出て、

もう一生帰らねぇ覚悟でおりましたものの、

 

花の咲く頃になると、きまって思い出すのは

故郷のこと、……ガキの時分、

 

鼻垂れ仲間を相手にあばれ回った

水元公園や、江戸川の土手や、

帝釈様の境内のことでございました。

 

風の便りに両親(ふたおや)も、

秀才の兄貴も死んじまって、

 

今はたった一人の妹だけが生きていることは

知っておりましたが、

 

どうしても帰る気になれず、

 

今日の今日まで、こうしてご無沙汰に

打ち過ぎてしまいましたが、

 

今こうして江戸川の土手の上に立って、

生まれ故郷を眺めておりますと、

 

何やらこの胸の奥がポッポッと

火照って来るような気がいたします。

 

そうです。

 

私の故郷と申しますのは、

 

東京葛飾の柴又でございます。

 

◇ 山田洋次監督、あなたは 「男はつらいよ」

   という映画を通じて、昭和のよき時代の

   原風景を残してくれました。

 

この映画は、

後世に残る  “日本の宝モノ”  だと

トンビは思います。

 

気がつけば、寅も、おいちゃんも、

おばちゃんも、御前さまも、タコ社長も、

いつのまにか皆この世から

いなくなってしまいました。

 

物語の設定にもかかわらず、

現実と物語が錯綜して

「身寄りのないさくらが不憫だな・・・」と、

 

ふと思う、

 

そんな愛着のある

不思議な映画でもありました。

 

今日一日の人生を大切に!
                        

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