◇ 寅さんの「名言」を長い間続けていますが、
本日は記念すべき第1作「男はつらいよ」の
「冒頭の語り」を紹介します。
◇ 桜が咲いております。
懐かしい葛飾の桜が今年も咲いております……
思い起こせば二十年前、つまらねぇことで
親爺と大喧嘩、頭を血の出るほどブン殴られて、
そのまんまプイッと家をおん出て、
もう一生帰らねぇ覚悟でおりましたものの、
花の咲く頃になると、きまって思い出すのは
故郷のこと、……ガキの時分、
鼻垂れ仲間を相手にあばれ回った
水元公園や、江戸川の土手や、
帝釈様の境内のことでございました。
風の便りに両親(ふたおや)も、
秀才の兄貴も死んじまって、
今はたった一人の妹だけが生きていることは
知っておりましたが、
どうしても帰る気になれず、
今日の今日まで、こうしてご無沙汰に
打ち過ぎてしまいましたが、
今こうして江戸川の土手の上に立って、
生まれ故郷を眺めておりますと、
何やらこの胸の奥がポッポッと
火照って来るような気がいたします。
そうです。
私の故郷と申しますのは、
東京葛飾の柴又でございます。
◇ 山田洋次監督、あなたは 「男はつらいよ」
という映画を通じて、昭和のよき時代の
原風景を残してくれました。
この映画は、
後世に残る “日本の宝モノ” だと
トンビは思います。
気がつけば、寅も、おいちゃんも、
おばちゃんも、御前さまも、タコ社長も、
いつのまにか皆この世から
いなくなってしまいました。
物語の設定にもかかわらず、
現実と物語が錯綜して
「身寄りのないさくらが不憫だな・・・」と、
ふと思う、
そんな愛着のある
不思議な映画でもありました。
今日一日の人生を大切に!
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