新たな免疫療法「CAR―T(カーティー)細胞」②    vol.396

 

◇ 普及の壁となるコストの問題に

     たたみかけるように今年2月、

 

     不穏なニュースが舞い込んだ。

 

「いったんがん細胞が消失しても、

               再発する患者がいる」

 

米ニューヨーク・マンハッタンの

高層ビルが立ち並ぶ一角にある

ケタリングがんセンター。

 

 

世界のがん治療研究をリードしてきた

最高峰のがん研究機関が、

世界を驚かせる1本の研究結果を発表した。

 

発表内容はこうだ。

 

調査期間は2010年から

2016年までのおよそ6年間、

 

CAR―T療法を受けた

患者53人のうち44人(83%)で、

 

体内のがんがほぼ消失する

「完全寛解」の症例が出た。

 

しかしそのうち26人を観察したところ、

17人が再発または死亡。

 

そして53人のうち半数の患者が

およそ13カ月で死亡したという。

 

いったんがん細胞が消失したのに

再発してしまったケースだ。

 

一度CAR―Tを投与しても再発する。

 

そして同じCAR―Tは2回目は使えない。

 

そうした事実が証明されたのにもかかわらず、

今もがんが消える」「がんの特効薬」

といったタイトルのニュースで紹介される、

 

――そのことに研究者は

不信を抱いているようだった。

 

なぜ再発したのだろうか。

 

小沢名誉教授は,

 

「免疫細胞に記憶させて、

   探索を強化するために

   がん細胞につけた目印が

消えてしまったためではないか」

 

と分析する。

 

実は現在承認を受けているCAR―Tは、

免疫細胞にがん細胞の表面にある

「CD19」というタンパク質を目印として

記憶させる治療法だ。

 

だが、がん細胞もしたたか

 

攻撃を受けた原因が

CD19にあると学習するやいなや、

この目印を消して患者の体内に潜伏する。

 

その後、時間をかけて復活し

再び患者の中で増え始める。

 

いわば製薬会社のテクノロジーに

がん細胞が反撃し始めるというわけだ。

 

ノバルティスの工場で製造された

CAR-T細胞は凍結状態で

患者の待つ病院に運ばれる。

 

もちろんがん研究者にいわせると、

こうした反撃はおりこみ済みでもあるという。

 

すでに海外の研究機関ではCD19の

次に使うための 「CD20」、「CD22」

といった別の目印を覚えさせた

CAR―Tの開発が進んでいる。

 

ただ反撃は今後、何度も繰り返され、

いたちごっこになる可能性が高い。

 

それでも製薬会社は細胞治療の

ノウハウを積み重ねなければならない。

 

◇ がん治療に効果のあった

     患者だけが治療費を払う――。

 

高額なCAR―T療法は、米国ではこうした

「成果報酬型」の制度をつかって承認された。

 

これなら高額費用の支払いを

保険会社に認めさせることができるからだ。

 

ノバルティスは、日本で

キムリアの承認を得るために、

こうした制度も提案しているとみられる。

 

◇ 仮に1回数千万円という価格がついた場合、

    オプジーボのように 「高すぎる」

    という批判にさらされる可能性もある。

 

今後、患者からの強い需要や、

製薬会社に注がれる投資家の期待を

後ろ盾に研究が進めば、

コストや再発の問題は解決する可能性はある。

 

しかし開発が進んだとしても日本の医療現場、

保険制度でこうした最先端の「特効薬」を

今後も受け入れていくことが可能なのか。

 

「価格」「再発」という2つの壁の先には、

 

日本の保険制度という

最大の難関が待ってはいるが、

 

何はともあれ金さえあれば、

ガンも治る時代になってきたのは間違いない。

 

確率的には2人に1人はガンになるので、

夫婦どちらかはガンになる可能性が大だ。

 

存命希望者は、

家族に迷惑をかけないためにも

今からお金の準備をしなければならない。

                                                  

 

 

今日一日の人生を大切に!

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