もうすぐ秋彼岸 vol.601

◇ 洋画家の梅原龍三郎氏は

     遺言状に書いた。

 

葬式無用 

 

弔問供物(くもつ)固辞すること 

 

生者は死者の為に

煩(わずら)わされるべからず

 

なかなか、潔い言葉である。

 

◇ 弔問や供物の扱いはともかくも、

     亡き人のためにあれこれと

     思い煩うのが世の生者に違いない。

 

友を亡くせば晩年の無沙汰を悔やみ、

父母を亡くせば身の不孝が胸を刺す。

 

来週は彼岸の入り。

 

彼岸とは、春分の日、秋分の日を

中日とする前後7日間のことをいう。

 

この時期、

仏教では極楽浄土に想いをはせ、

 

善行を積むべき、

大切な時期とされている。

 

父母の、あるいは知友の

墓参りに出かける方も多かろう。

 

◇ 矢島渚男(なぎさお)氏の

     一句を思い出す。

 

仏壇でアリガトマシタ彼岸の子

 

モミジのような手を合わせて、

回らぬ舌で一生懸命にお話をする

小さな生者の姿が目に浮かぶ。

 

◇ そう、アリガトマシタ。

 

その言葉を30年後、50年後の

子供たちから言われるために、

いま現代人は生きている。

 

◇ 英国の詩人、ジョン・クレアは

     友人に宛てた手紙に書いた。

 

「もし、人生に第2版があるならば、

                    私は校正をしたい」

 

悲しいかな、

 

初版がすべての人生である。

 

今日一日の人生を大切に!

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