デジタルが生み出したフラクタル構造の群れ社会 ③ vol.552

 

◇ このような複雑系における

     自己組織化現象を

     アニメーターのクレイグ・レイノルズ氏は、

 

トリの群れに見るアルゴリズムであるとし

Boidsという理論で発表した。

 

そこに3つの要素があると語っている。

 

この理論は、実におもしろい。

 

1つは    衝突回避

 

ものとものがぶつからないように、

近づき過ぎないように限界を与える。

 

2つ目は    整列

協力して進む方向をだいたい揃える。

 

3つ目は    接近

 

群れから離れないで集まろうとする。

 

この3つの要素をプログラミングして

インプットすると、

 

トリは群れを構成する。

 

◇ 視点を変えると、

    衝突回避はそれぞれが孤立する生命体であり、

 

    非連続に連続している、

   パラレルワールドといえる。

 

整列には、刺激や挑発があり、

共振、共鳴が関わっている。

 

接近は、宿命的な関係性、

情とか絆とか縁みたいなもの。

 

本質的に人間は人間を大事にする、

みたいなものを見てとれる。

 

つまり「群れ」とは、

 

「宿命的な繋がりを持つ個体が

   非連続な関係のまま共振し合う連続体」

 

と解釈することもできる。

 

生物学者で、青山学院大学教授の

福岡伸一郎氏曰く、

 

人間はDNA を持った1つの幹細胞から出発し、

2つに分裂し、次いで4つに細胞が

分かれ増えていく。

 

その途中で、ある幹細胞が

「俺、心臓の細胞になるね」と心臓の方へ行く。

 

別の幹細胞は

「じゃあ俺は、血液の細胞になるね」

と血液になる。

 

その間にある種の相談をしながら、

皆が心臓になって心臓だけの人間に

なったりはしない。

 

同じ一種類の幹細胞だったのに、

お互いに群れを形成している。

 

Boids理論と共通する話の内容だ。

 

共振しながらそれぞれが

オリジナリティを持ってる。

 

人間の体の中の細胞も、

人間社会と同じように、

    「 群れ」 なのだ。

 

これがとても重要で、

「フラクタル」になっている。

 

「フラクタル」とは適宜な一部をとっても、

それは全体と成り立ちが似ていることをいう。

 

細胞という小さな一つをとっても「群れ」であり、

人間と社会という大きな視点で見ても

「群れ」なのだ。

 

超群体は、フラクタルのように、

その生体もどきになる。

 

◇ 生き物というのは論理的ではない。

 

   気分次第で行動し、

   悪い気持ちになると悪いこともするし、

   いいこともする。

 

そのように不安定で生や死、善や悪、

あらゆる逆のものを持っている

得体の知れない存在が人間ということになる。

 

その人間と同じような巨大な超群体が、

挙動するのが社会なのだ。

 

もう少し具体的に説明してみよう。

 

◇ SNS がつくる関係は

   巨大な社会になっているが、

 

その中にあるのは一人ずつの

パーソナルな人間だ。

 

今、日本中で34%が家族を持たない

シングルファミリーといわれている。

 

東京では50%を超えているだろう。

 

建築家も、今は一人で住む

住宅の設計を議論する時代だ。

 

ファミリーという構造が壊れて、

パーソナルになっている。

 

Amazon の物流センターでは、

膨大な商品があるので整理不能なため、

 

未整理のまま検索して出荷するという

システムで対応している。

 

未整理でも検索すればそれで済む。

 

もはや整理が不要だ。

 

混沌のまま放置しておき、

検索すれば欲しいものが出てくる、

 

そういう時代になってしまった。

 

GPS は、これに貢献する

大きな革命の一つであった。

 

バーチャルとリアルを融合した

「ポケモンGO」はアドレスが不要だ。

 

ウサーマ・ビン・ラーディンは

GPS で発見され殺害された。

 

戦争自体も戦車隊を率いて

国家と国家が戦争するのではなく、

 

個人が個人を殺すことができる、

不思議な時代に変わってしまった。

 

このようなフラクタルな

世の中の構造を理解できれば、

 

これからどう生きていくべきかも

見えてくるのではなかろうか。

 

 

今日一日の人生を大切に!

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