◇ 令和時代が開幕した。
これまでの時代にたまった、
淀んでいるものを取り除き、
長年かけて継いで築いてきた
功績や普遍的な価値を再確認し、
日本の本来の姿を磨く
最適な時代の節目が訪れている。
◇ そして令和という元号が
明らかになってからおよそ一週間後に
日本の紙幣の刷新も発表された。
世の中の流れはキャッシュレスであり、
新たな紙幣のデザインは時代遅れ
という考えも確かにある。
トンビ自身もキャッレスの信奉者であり、
確かにお金の存在意義を「機能」のみしか
考えなければ、リアルな紙幣の発行はいらない。
ただ、お金には「機能」だけではなく、
「メッセージ性」という大事な意味がある。
逆にメッセージ性がなければ、
お札を印刷することには意味がない
ということになる。
◇ 日本の新しい時代である令和における
紙幣の刷新の図柄から
読み取られるメッセージとは何か。
それは
「サステナビリティ」
つまり持続可能な社会を築くことであり、
そのために三者への期待が
示唆されていると思われる。
北里柴三郎・・・ライフサイエンス
津田梅子・・・・女性の活躍
渋沢栄一・・・・経済人
あるいは、研究、教育、実業
と置き換えてもいい。
特に経済人が国の紙幣の図柄になる例は
日本のみならず、世界で前例がなく、
より一層、メッセージ性を感じる。
◇ 現在の資本主義は格差や
ブラック企業を産むなど
様々な課題を抱えており、
そんな中で、
日本の新しい時代の最高額面の紙幣は、
あえて「日本の資本主義の父」の
肖像を採用した。
このメッセージ性とは何か。
実は、渋沢栄一は「資本主義」
という言葉を使っておらず、
「合本主義」という言葉を使っていた。
会社を資本で支配する大株主より、
少数株主の会社形態の方が価値を
多数へ分配できて国が富むと
考えたからだろうか。
◇ 日本の新しい時代に必要だった銀行を
日本で初めて興した際の株主募集布告で
渋沢栄一が次のように提唱している。
「銀行は大きな河のようなものだ。
銀行に集まってこない金は、
溝に溜まっている水や
ポタポタ垂れている滴と変わりない。
折角人を利し国を富ませる能力があっても、
その効果はあらわれない。」
これは銀行に集まってくるお金だけではなく、
少数株主という「滴」でも同じことが言える。
一滴一滴の滴が、共感によって寄り集まり、
共助によって互いを補い、
「今日よりもよい明日」を共創することが、
日本の資本主義の原点である
渋沢栄一の合本主義だ。
◇ 渋沢栄一と同時代で著しい功績を築いた
三菱財閥の創始者である岩崎弥太郎は、
才能ある経営者が資本も掌握して
会社を舵取るべきと考えたようだ。
合理的な考えで、現在でも同じような
経営者・投資家がいる。
◇ 一方、渋沢栄一は合本主義によって
会社の利益が多数へ還元され、
国が富むことを目指していた。
一人ひとりが豊かになれば、国が豊かになる。
民間力の向上によって、国力が高まる。
そして、その未来を実現させる主役は
民間の一人ひとりである。
渋沢栄一は「未来を信じる力」の
持ち主であった。
その民間人が導く豊かな国の未来を
実現させるために渋沢栄一が唱えたのが、
「論語と算盤」であった。
つづく
今日一日の人生を大切に!
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