◇ 台湾人は、こうした香港の悲劇を
しっかりと見るべきだ。
何度も言うが、
「一国二制度」のまやかしで
餌食にされた香港の例があることを、
2020年の総統選挙に向けて台湾は
しっかりと教訓にするべきだ。
◇ 香港の「一国二制度」は、
香港返還時に英中双方による
国際的な約束で、50年間はこの体制を
維持することを両国で取り決めた。
しかし、2017年の行政長官選挙に
中国政府が介入し、
民主派候補の立候補が制限され、
この約束は中国側によって事実上、
反故にされた。
◇ 中国では、漢、晋、明といった
諸王朝時代から封建制を敷いており、
中央集権国家だった。
それは今でも変わっていない。
香港に対して「一国二制度」という
建前を保ってはいるが、
その実は、歴代王朝同様に香港を
中央集権の一部に取り込んだだけであり、
「二制度」は有名無実化されている。
◇ 香港がイギリス領となったのは、
アヘン戦争の結果であった。
もともとイギリスは舟山諸島を
欲しがったのだが、
舟山諸島は長江の出口で、
清朝には都合が悪かった。
そこで清朝は、
人口5,000人しかなかった
漁村の島を与えた。
それが後に、
中国人の駆け込み寺的な存在となり、
人口が約1,000倍以上に急増した上に、
世界の金融センターとしても有名になった。
日本が一時占領した満州国も
中国と切り離され他国に統治された地域は、
近代産業社会へと急激に変貌した。
この事実を中国は冷静に
見つめるべきだろう。
◇ 香港人の運命は、
全人類にとってひとつのモデルケースだ。
中国に返還されたことにより
「籠の鳥」になるだけでなく、
「法治国家」から「人治国家」へと
後退したまさにモデルケースだ。
中国が「一つ」である以上、
返還後の香港の「中国化」は免れず、
「一国二制度」が形骸化するのも
避けられない。
◇ 香港人は、かつて享受していた自由と
人権を守りたいと思っている一方で、
中国人からすればそれは贅沢な要求だ。
香港に一国二制度を許したら、
「一つの中国」の大原則が揺らいでしまう。
中国には中国の仕組みと原則がある。
「天下はひとつ」「大同」
が中国の原則だ。
※ 大同 :
天の公理に基づき、人心が和合し、
よく治った、あらゆる差別のなくなった
至公無私の平和な社会のこと。
香港ごときに「一国二制度」を
許すことはできないというのが、
中国の言い分なのだ。
◇ チベット、ウィグル、内モンゴルも、
無理やり併呑されて、
漢族の移住と独自文化抹殺によって
「中国化」が進められた。
現在はキリスト教やイスラム教を
中国政府の完全支配下に置く、
「宗教の中国化」も進められている。
大量のウィグル人強制収容も、
その一環として行われている。
◇ 中国に飲み込まれた以上、
一国二制度や高度な自治、
多種多様な価値観などは、
決して容認されず、
待っているのは同化しかない。
それこそが 「中国の夢」、
チャイナドリームなのだ。
完
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