中高年のひきこもりで明るみになった「8050問題」① vol.535

 

◇ 先日、

「中高年ひきこもり61万人」という

   内閣府の調査結果が話題になった。

 

そしてそのタイミングで、

元農林水産事務次官が自宅で

長男を殺害した事件が起り、

 

容疑者の調べに対し、

「長男はひきこもりがちで、

 家庭内で暴力を振るうこともあった」

という趣旨の供述をしていることがわかった。

 

この事件をきっかけに、

にわかに「ひきこもり」

クローズアップされてきた。

 

◇ これまで「ひきこもり」の調査は

 「1539歳以下」が対象だったが、

 

前回調査(2015年)で

40歳以上を除外」したことに批判が殺到。

 

そこで今回、内閣府の

「生活状況に関する調査」で、

 

40歳~64歳」を対象に、

中高年のひきこもりの実態が明かされた。

 

◇ 調査は201812月、全国で無作為に

    抽出した対象者に訪問調査で実施。

 

3248人(65%)から回答を得て、

そのうち「ひきこもり」に該当したのは

回答者の 1.45%(出現率)だった。

 

この数字を同年齢の人口データに

掛け合わせたところ、

 

「全国に613千人の

   ひきこもり中高年がいる」

 

ことがわかった。

 

かねて指摘されていたとおり、

1539歳」の推計 541000人を

上回っていたのである。

 

◇ 具体的には、

 

・性別

 男性・・・76.6

 

・年齢の内訳

 40代・・・ 38
 50代・・・ 36
 60代・・・ 26

 

・「ひきこもり」になった年齢

     39歳以下 4

   40歳以上  6割

 

・「ひきこもり期間」

  7年以上・・・47%、

     30年以上・・・6

 

・きっかけは

   退職・・・36.2

   病気・・・21.3

   人間関係・・・21.3

   職場になじめなかった
     ・・・19.1

    就活の失敗・・・6.4%
       ――複数回答

 

・家の生計

  父または母・・・34

  本人・・・30

  生活保護・・・9%

 

 ・・・なるほど、なるほど、

 

この回答を見ると、

なんとなく見えてくるものがある。

 

◇ 40歳以上のひきこもりが

    相当数いることはわかったが、

   やはりかなり衝撃的な内容である。

 

61万人」という推計の出し方には

一部の識者から批判も出ているが、

 

61万人という数字以上に、

国が、しかも全国規模で40代以上を

対象に調査を実施した意義は極めて大きい。

 

◇ 40歳以上を見捨てたとして

    批判された2015年の調査時、

 

内閣府の担当者は、

「なぜ、40歳以上をはずしたのか?」

との質問に対し、

 

「若者の生活に関する調査なので、

   対象は必然的に40歳未満になる。

   40歳以上は厚労省の管轄」

 

と超官僚的に答え、

 

「今後のひきこもりの支援策として、

 アウトリーチ研修などを39歳以下

 のみを対象として行っていく」

 

と宣言していたのである。

                            つづく

 

*アウトリーチ研修:

 担当者が当事者の自宅に赴き、
 様々な会話を試みながら当事者が
 外へ出られるようにする手法

 

 

今日一日の人生を大切に!

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