男と女の恋愛観を完全に変えた『おっさんずラブ』   vol.457

 

◇ 2018年の連続ドラマで

    強烈なインパクトを残したのが

     テレビ朝日の『おっさんずラブ』だ。

 

今年は夏に映画版の公開も予定されており、

ブームはまだ続きそう。

 

◇ 部下から信頼されている

     “理想の上司”でありながら、

 

主人公の春田(田中圭)に思いを寄せ、

乙女な一面をのぞかせる黒澤武蔵。

 

春田を「はるたん」と呼び、

手の込んだ弁当を作り、

LINEの語尾に「~だお」と付けるなど、

 

春田を前にすると乙女っぽさが

あふれてしまう武蔵役が面白い。

 

◇ すべてのシーンが新鮮で、

     圭と、牧役の(林)遣都との

    掛け合いと絡みは、

    エキサイティングだった。

 

スタッフもキャストも、いままで、

あまり取り組んだことがない題材であり、

 

男が男を愛するって、

想像力だけでは補えないところがあり

結果、コミカルになったのではなかろうか。

 

これが逆にシリアスに仕上がったら、

時期尚早だったかもしれない。

 

◇ 特に印象に残っているのは、

    武蔵の妻・蝶子(大塚寧々)とのシーンだ。

 

30年一緒にいた蝶子に、

男を好きになったから離婚してほしい

と告げるんですから、当然驚く。

 

LGBTに対する蔑視とかではなく、

奥さんとしては全く想像していなかったことだ。

 

そのときに彼女は一旦悲しむし、苦しむが、

武蔵が春田に振られたのを見て、

 

応援する側に回るという、

そのストーリーがトンビは好きだ。

 

◇ 脚本を書いた徳尾浩司氏は、

    泣かせどころなど、

    きっちり押さえるところは押さえている。

 

叫んだり泣いたり転がったり、

恋のさや当てみたいなのも面白いが、

 

そこで苦しむ蝶子がいたり、

 

牧の元彼の武川(眞島秀和)が

密かに闘志を燃やしていたり、

 

そのへんのあんばいが絶妙だった。

 

◇ この作品には、いままで触れてこなかった

    アンタッチャブルな部分が確かにある。

 

20年前だったら、差別のような扱いに

なっていたかもしれない。

 

これを、あくまで恋愛ドラマとして作り、

地上波で放送して、

 

『こういうのを見たかった』

 

と反応がきちんと返ってきた。

 

『評価はもう視聴率だけではない』

 

と言い切ってもいいくらいの作品だ。

 

男女の境界線がだんだと曖昧になり、

性別で区分すること自体が

不要な時代になりつつある昨今、

 

『おっさんずラブ』は、

そんな時代背景を教えてくれるドラマであった。

 

 

今日一日の人生を大切に!

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください