◇ 一世紀ほど前、
パプアニューギニアのフォレ族は、
他の文明と同様に、
亡くなった親族を土葬する習慣を持っていた。
ある晴れた日のランチタイムに、
エドおじさんが亡くなった。
家族がエドおじさんを埋葬しようと
地面に置こうとしたときに、
特にお腹が減っていた親戚がこう言った。
「なんでこんなおいしそうな肉を
埋めちゃうんだい?
そんなのもったいないじゃないか」
そして、結局みんなで遺体を食べてしまったのだ。
翌日、別の親戚が亡くなったとき、
親族は全く同じことをした。
そしてこの習慣が伝播して村全体が、
死者を地面に葬るのではなく、
食べるようになった。
これには明らかなメリットがある。
フォレ族は飢餓と栄養失調に苦しんでいたので、
この習慣はフォレ族の空腹を救ったのだ。
しばらくすると、
近くの村から来た人がこの風習を目撃する。
そしてこの訪問者も、
これは良いアイデアだと思い、
自分の村で親戚が死んだときに、
埋めるのではなく
その場で食べようと親族に勧めた。
こうして、この風習はフォレ族の
すべての村に広がり、
人肉食の習慣はフォレ族の誇る伝統となった。
しかし悪いことは必ず起きる。
それは親戚の脳みそも
すべて食べていたことに起因する。
結果として、恐ろしい致命的な
クルという病気が流行してしまった。
この病気はクロイツフェルト・ヤコブ病、
つまり狂牛病と関係している。
この病気は非常に長い潜伏期間があるので、
誰も人肉食がこの悲劇の原因だと気づかなかった。
従ってフォレ族の半数が死亡し、
オーストラリアの侵略者が止めさせるまで
この習慣が続いた。
◇ この話をしたのには理由がある。
それは、多くの経営者や企業の
やっていることがフォレ族と似ているからだ。
フォレ族の慣習は明らかに有害で、
自分たちに死をもたらした。
彼らの風習は、空腹をなだめ、
飢餓を減らす、といった即効薬だった。
しかし長期的には、
ひどく悲惨な結果を生み出した。
ここで問題は、潜伏期間が長いため、
何年も前に始めた風習が問題を
起こしていることに気がつかない、
ということだ。
人気のある経営施策の中には、
同じような特徴を持つものがある。
施策はすぐに目先の効果を生むが、
その副作用はしばらくしてから
場合によっては、
何年も時間が経ってから現れる。
そのため、経営者は副作用を甘く見てしまったり、
まったく副作用に気づかなかったりする。
つづく
今日一日の人生を大切に!
コメントを残す