政治家とオールドパー vol.356

 

◇ 土佐高知の旅館「城西館」

    一本のウイスキーボトルが残されている。

 

 吉田茂が飲み残した高級スコッチ

 「オールドパーのボトル」である。

 

顧みれば、このスコッチは、

欧米諸国を視察した 岩倉具視使節団 が、

欧州文明の代表物として持ち帰ったものという。

 

使節団副使は   大久保利通  

 

吉田茂の妻は、その大久保利通の孫娘であった。

 

吉田は昭和21年5月に、

内閣総理大臣となった。

 

広島の酒造家の伜であった池田勇人が

ウイスキーを好むようになったのも、

吉田のオールドパーと無縁ではない。

 

◇ 佐藤栄作は、ほとんど下戸で

    ウイスキー党に入党することはなかったが、

   別の役割を担った。

 

昭和38年、吉田茂邸を田中角栄が

訪問した際、佐藤栄作が仲介した。

 

当時、田中は45歳。

 

池田内閣の蔵相を勤めていた。

 

田中はこの時、手土産に良寛の書を持参。

 

吉田との間にこんな会話がかわされた。

 

 吉田 「これは本物か」 

 

 田中 「値段からしてそう思います」

 

 吉田 「おまえが持つと本物も偽物だが、

                      俺が持つと偽物も本物になるんだ」

 

そんな言葉とともに、

吉田から田中にふるまわれたのも

オールドパーだった。

 

後日、田中が佐藤に訪問の内容を伝えると、

佐藤は言った。

 

「あれを出されたら間違いない。

                     気に入られたんだ」

 

これといった学歴も人脈もない田中が、

総理まで上る一筋の光を見た瞬間だった。

 

以降、田中は終生オールドパーを愛飲した。

 

<今日の名言>

佐藤栄作は竹下登にこう語った。

 

政治家の世界は100メートル競争ではない。

 

マラソンだ。

 

最初から優勝しようと思うな。

 

自分のペースで走れ。

 

自分の身柄に合った早さで、

自分の心臓の強さに合わせて走れ。

 

トップランナーは、子供の投げた

バナナの皮にすべって転ぶ。

 

二番手と三番手は、あまりに競い合って、

コーナーを曲がる時に身体がぶつかり、

二人でひっくり返って、アキレス腱を切る。

 

四番目の走者は下痢になって、

テープの100メートル前で、

もれそうになってしゃがんでしまう。

 

そうすると、竹下君、

十番目、二十番目では困るが、

五番目くらいのところにぴったりつけていけば、

最後に君が勝つことになる。

 

※ 何も最初から最後まで一番でなくていいんだ、
   自分のペースを守りながら、長期的視野を持ち、
   可能性を信じ、今できるかぎりのことをしていこう。

   いつか報われる日が、必ず訪れる。

 

今日一日の人生を大切に!

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