官邸はなぜ検事総長にまで人事介入するのか ② vol.709

黒川氏が昨年1月、

  東京高検検事長になると、

 

 東京地検特捜部はこれまでの

 うっ憤を晴らすかのような

 動きを始めた。

 

敏腕で鳴らす森本宏特捜部長のもと、

IR事業をめぐる汚職事件で、

 

10年ぶりに現職国会議員の

逮捕に踏み切った背景には、

そうした事情の変化もあった。

 

黒川氏が法務省を取り仕切っていたら、

どうなっていただろうか。

 

定年が迫りつつあった黒川氏。

 

安倍官邸は検察対応の

キーパーソンを失いたくなかった。

 

検察庁法によると、

検事総長以外の検察官は63歳に達したら

退官することになっている。

 

とすれば、195728日生まれの

黒川氏の退官日は、今年28日であった。

 

一方、検事総長の退官は65歳に達したときだ。

 

そこで安倍首相と官邸の面々は、

  黒川氏を法務・検察組織に

  留め置くための秘策を練った。

 

いちばん手っ取り早いのは

現検事総長の稲田氏が退任し、

 

黒川氏が定年に達する前に、

検事総長の座を明け渡してくれることだ。

 

検事総長は後任者を自ら指名するのが慣例だ。

 

そこで、昨年末から稲田検事総長に

 退任するよう説得してきたが、

 稲田氏が頑として応じなかったという。

 

そうこうしているうちに、

黒川氏の63歳到達日が迫ってきた。

 

検察庁法を守るなら、もう時間切れだ。

 

“禁じ手”   しか残されていない。

 

今年131日の閣議で、

黒川東京高検検事長の勤務を

87日までとすることを決めた

いきさつは、そんなところだ。

 

検察庁法には、

 検事総長以外の検察官は、

「年齢が六十三年に達した時に退官する」

 となっている。

 

ところが、森法相は検察庁法に

定年延長する場合の決まりが書いてないから

『国家公務員法』を適用するという。

 

人の一生を左右するほどの

大きな権限を持つ検察官だからこそ、

厳しい年齢規定がある。

 

安倍官邸にかかれば、

常識はいともたやすく覆されてしまう。

 

検事総長の任命権者は内閣である。

 

しかし、内閣からの独立性を保つため、

これまでは検事総長が

後任者を指名し禅譲してきた。

 

歴代の内閣には、

それを是とする寛容さと良識があった。

 

法務・検察組織内部で、

 順当な次期検事総長候補が

 林眞琴氏ということは

 衆目の一致するところらしい。

 

稲田検事総長は林氏の

誕生日前に退任し、

 

林氏にバトンタッチする

腹づもりと思われるが、

 

そうは問屋が卸さないとばかりに、

安倍官邸は黒川氏の

定年延長カードを切ってきた。

 

任命権者は内閣であることを振りかざし、

官邸は稲田氏に圧力をかけるのだろう。

 

これでは、検事総長さえも、

  時の政権の都合のいい人物を

  配置するという悪しき前例を

  政治史に残すことになる。

 

国民の生活を向上させる政策が

いっこうに進まないなか、

 

“官邸独裁” だけは、

完成形に近づいている。 完

 

 

今日一日の人生を大切に!

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