官邸はなぜ検事総長にまで人事介入するのか ① vol.708

安倍首相はいつごろ、

  このアイデアを思いついたのか。

 

誰かに入れ知恵されたのだろうか。

 

検察のナンバー2

黒川弘務・東京高検検事長を、

半年だけの定年延長で、

 

ちょうどそのころ退任時期を迎える

稲田伸夫・検事総長の後釜に

据えようという魂胆。

 

「桜を見る会」の問題点が

  国会で指摘され、

 

ジャーナリストや弁護士ら約50人が

昨年11月に東京地検に告発状を

提出したこと、

 

他の弁護士グループも

告発の準備を進めていること、

 

なにより、

安倍首相自身が違法性を

自覚していることが、

 

少なくともこの人事に

なにがしかの影響を与えているように見える。

 

7年にもわたり、

  幹部官僚人事を思うがままに

  動かした安倍官邸は、

 

あたかも霞が関全体を掌中に

収めたかのごとくふるまっている。

 

忖度 ” とやらの横行とともに、

  人事権の乱用への反発心もまた、

  各府省の中にはくすぶっている。

 

裸の王様 ”と揶揄される安倍首相でも、

そのくらいのことを察するのは容易だろう。

 

とりわけ検察は、建前上、

政治からの独立性が求められる。

 

検察が本気になって腐敗を暴き出せば、

いかに政権側に指揮権発動という

伝家の宝刀があろうとも、

 

メディアを味方につけて政権を

転覆させることも可能である。

 

 最近の問題は、

  検察が安倍政権の中枢部から

  数々の腐敗ネタを知りながら、

 

厄介な内部力学が働いて

拾おうとしなかったことである。

 

それゆえに現場の検事たちには、

不満のマグマがたまりにたまっているようだ。

 

その官邸への忖度の中心にいたのが、

まさに今回の異常人事で、

 

検事総長の座が目の前に

ちらついているであろう

黒川弘務・東京高検検事長 なのである。

 

黒川氏といえば、検察というより、

  法務省官僚の印象が強い。

 

若いころは地方検察庁で

検事の仕事をしたが、

 

その後の大半は、

法務省の大臣官房か、刑事局に在籍し、

 

大臣官房長を経て20169月、

法務事務次官となり、

191月に東京高検検事長に就任している。

 

実は黒川氏の法務事務次官就任は、

  官邸のごり押しによるもので、

 

当時、法務・検察内部に立った波風は

かなりのものだったらしい。

 

法務事務次官には黒川氏と同期の

林眞琴氏が就くというのが

既定路線だったのだが、

 

官邸はこの人事案を拒否し、

官房長だった黒川氏を充てるよう要求した。

 

では、なぜ官邸は黒川氏なのか?

 

ということをここで説明しなければならない。

 

 それは、小沢一郎氏を陥れようとした

  陸山会事件にまで遡ることになる。

 

黒川氏は小沢潰しを画策した

麻生政権時代から、

 

検察と政治の間を小器用に

立ち回ってきたといえる。

 

後援会観劇ツアーで有権者を

買収した小渕優子・元経産大臣。

 

URへの口利きで現金を受け取った

甘利明・元経済再生担当大臣。

 

明白な証拠がそろっている

この二人の事件を潰したのは、

 

当時の黒川官房長だったといわれる。

 

東京地検特捜部が

  政界の捜査に入ろうとする際、

 

法務省に、なぜかお伺いを

立てることになっている。

 

表向きは特捜が暴走することがないよう、

ということだが、

 

実際には政権の怒りを買うような捜査を

避けたがる法務省幹部の保身に起因している。

 

特捜がお伺いを立てる窓口が

官房長というわけで、

意外に官房長は威張りやすい。

 

一説によると、

小渕、甘利の両事件ともに、

黒川氏が突き返したらしい。

 

もちろん、黒川氏はぬかりなく

菅官房長官あたりに

“手柄”を報告しただろう。

 

特捜の検事たちは

  たいそう悔しがったというが、

 

官邸にしてみれば、

黒川氏を法務・検察の中枢に置いておく

メリットは計り知れない。

 

官房長から事務次官に

黒川氏が昇格したのは、

 

甘利氏の不起訴が決まって

数か月後のことだった。

        つづく

 

 

今日一日の人生を大切に!

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