ジャパニーズウイスキーブームが到来 ② vol.376

 

◇ 1899年の大阪。

 

   両替商の家庭に生まれた鳥井信治郎は

  20歳の時、サントリーの前身である

  鳥井商店を開業し、ぶどう酒の製造販売を始めた。

 

当時の日本では、お酒と言えば日本酒がメイン。

 

舶来もののウイスキーやワインを飲む習慣は、

まだ本格的に根付いていなかったと言われている。

 

しかも、本格的なウイスキーづくりは、

本場のスコットランド以外では

不可能というのが定説だった。

 

しかし逆に言えば、

日本のウイスキー市場は、

 

強力なライバル企業が存在しない

ブルーオーシャン でもあった。

 

これからは、

日本でも洋酒を飲む時代がくるだろう──。

 

洋酒に人生を賭けることを

決意した信治郎は1924年、大阪府の山崎に

巨大なウイスキー蒸溜所を建設する。

 

そして、信治郎が始めた

日本のウイスキーの歴史を、

 

創業家が4代にわたって受け継ぎ、

今日の洋酒文化を育んできた。

 

◇ 日本でのウイスキー製造は、

    サントリーがオーナー企業だったからこそ

    成功したと言われている。

 

その理由は、ウイスキーは “超”がつくほど

長期のビジネスだからだ。

 

ウイスキーは他の酒と違い、

短くても3年は熟成期間が必要だ。

 

その間は、どれだけ現金収入を得たくても、

倉庫で眠らせておかなければならない。

 

場合によっては、今製造したお酒が10年、

20年先に評価を得る可能性さえある。

 

だからこそ、ビジネスでの成功と

一族の繁栄を同一にし、

 

長期的な視点で経営判断が下せる

オーナー経営と相性が良かったのだ。

 

◇ またサントリーは、株式市場における

    短期志向の波に飲まれることを避けるために、

 

    創業から120年がたった今でも

    プライベートカンパニーを貫いている。

 

売上高にして2兆円を超す巨大企業のうち、

非上場なのは日本ではサントリーだけだ。

 

決して短期的な思考に陥らず、

20年、30年先の会社の成長を描きながら、

 

経営戦略をグランドデザインしていく。 

 

長期志向というオーナー経営の強みを、

常に維持し続けている。

 

◇ 一方で、サントリーの外に目を向ければ、

    権力を持ちすぎた創業家が暴走し、

 

会社の経営を揺さぶるケースは、

もはや珍しい話ではなくなっている。

 

近年は大企業で、創業家をめぐる

トラブルが相次いでいることから、

 

あまりオーナー経営に対して

良いイメージを抱かないかもしれない。

 

いったん経営の歯車が狂いだすと、

創業家は、会社を存亡の淵に追い込む

元凶にもなりうるからだ。

 

父と娘の間で権力闘争が起こった

大塚家具では、ブランドイメージの

毀損が響き、直近2年は最終赤字に沈んでいる。

 

また2015年に昭和シェルとの合併を

発表した出光興産も、創業家の反発が大きく、

統合はスタックしたままだ。

 

そしてそれは、100年以上にわたって

オーナー経営を続けてきた

サントリーにとっても、無縁な話ではない。

 

創業家は、時に会社を強くすることもあれば、

破滅へと追い込む可能性もある

「猛獣」のような存在だ。

 

◇ なぜサントリーでは、オーナー経営が

    うまく機能してきたのか。

 

「やってみなはれ」

 

という言葉を聞いたことがあるだろう。

 

サントリーのことはよく知らなくても、

チャレンジ精神を表すこの言葉を

知っている人は多いのではないだろうか。

 

実はこの言葉は、創業者の鳥井信治郎が

晩年に病床で語ったものだ。

 

サントリーではこの言葉を

創業精神として受け継ぎ、

 

これまで数々のユニークな挑戦を行い

長く続いた倒産の危機を乗り越えてきた。

 

◇ 無謀なビジネスに果敢に挑む

     ベンチャースピリットを受け継いで

     いくことができれば、

     これかも発展していくことだろう。

 

もしあなたの自宅に

山崎、白州、響、等が眠っているのであれば、

飲まないで大事に保管しておいたほうがいい。

 

10年後、そのウイスキーは、

大きな資産に変身していることだろう。

                                               

 

 

今日一日の人生を大切に!

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください