麻酔を発見した男達の末路 ① vol.566

 

1848124日、

    男はカミソリで足の大動脈を切って

    自殺した。

 

場所はニューヨークの刑務所。

 

通行人に硫酸を浴びせたとして

逮捕・収監されていた。

 

男の名前はホレス・ウェルズ。

 

33歳の若さで自ら命を絶ったウェルズこそ、

人類を痛みから解放し、

医学に革命的な進歩をもたらした人物だ。

 

ウェルズは「麻酔の発見者」だった。

 

◇ 麻酔が発見されるまで、

    外科の手術室は阿鼻叫喚の現場だった。

 

患者を手術台に縛りつけ、

意識のある状態でメスを入れたり、

ノコギリで手足を切断したりした。

 

激しい痛みに絶叫し、

手術を受けるくらいなら

死んだ方がましと、

逃亡を試みる患者が続出した。

 

外科医も落ち着いて手術することなどできず、

手術の技術も精度もなかなか向上しなかった。

 

トンビも幼少の頃、

転んで膝がパックリ割れる

大怪我をした。

 

その際、担ぎ込まれたのが近所の内科医で、

麻酔無しで10針縫われた経験があり、

その時の激痛は今でも忘れることはできない。

 

こうした状況を劇的に変えたのが

     麻酔の発見だった。

 

それ以来、麻酔をかけることで、

患者は痛みに苦しむことなく

手術を受けられるようになった。

 

患者を安定した状態に保ち、

十分な時間がかけられることで、

外科の医療技術は飛躍的な進歩を見せた。

 

医学に革命を起こしたウェルズは、

大きな賛辞を受けて当然だったが、

現実は全く異なっていた。

 

深い絶望のなか、

自ら死を選ぶことになったのだ。

 

◇ ウェルズをそこまで追い詰めたのは、

    ウィリアム・モートンという男だった。

 

この男の策略によって、

ウェルズは名誉も仕事も失い、

悲惨な死を遂げることになる。

 

ところが、モートン自身も

不遇の最期を遂げた。

 

  ニューヨーク・ポストは、

 

  「ボストンの麻酔の発見者である

     モートン教授。

      110丁目と6番街の角で

      意識不明のところを発見され、

     聖ルカ病院に運ばれる途中で死亡」

 

という記事を伝えた。

 

1868年、モートンも48歳でこの世を去った。

 

◇ だが、そもそも麻酔の発見者は

     モートンでなく、

    ウェルズではなかったのか。

 

モートンはウェルズに、

どんな策略を仕掛けたのか。

 

麻酔を発見したという二人の男は、

なぜ二人揃って哀しい最期を

迎えることになってしまったのだろうか。

                                             つづく

 

 

今日一日の人生を大切に!

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