北朝鮮は4月に大統領制に移行する!? ④ vol.494

 

◇ 大統領は執政長官かつ国家元首として

    対外代表権があるのに対して、

 

内閣首相はただの執政長官であって

国家元首ではないので対外代表権がない。

 

対外代表権を基準にして考えると、

執政長官が対外代表権を持つのが

大統領制であれば、

 

執政長官が対外代表権を持たないのが

議院内閣制といえる。

 

議院内閣制である英国では、

対外代表権は国家元首である女王にあり、

 

内閣首相には対外代表権が

ないと見なされている。

 

◇ 北朝鮮では、建国から現在まで

     国家元首が4名いる。

 

主席であった金日成(キム・イルソン)を除いて、

いずれも、立法機関である最高人民会議の

常任委員会委員長が国家元首として

対外代表権を持っていた。

 

最高人民会議常任委員会委員長は

執政長官ではないので、

儀礼的な役割を担う象徴的な存在である。

 

◇ 対外代表権の有無は、

    外交儀礼に違いが出る。

 

国賓として外国で迎えられるためには

通常は対外代表権を持っている

国家元首でなくてはならない。

 

日本は、外国の国家元首は

国賓として迎えるが、

外国の内閣首相は公賓として迎える。

 

これらは接遇様式が異なる。

 

金正恩が2019年2月26日から3月2日に

かけてベトナムを訪問する際に、

 

「国賓として迎えられるのではないか」

 

という憶測が韓国のメディアを賑わせていた。

 

だが、対外代表権がない

国務委員会委員長である金正恩を

国賓として迎えるのはかなり難しい。

 

実際に、金正恩は公式親善訪問として

ベトナムを訪問した。

 

◇ 金正恩は2018年から

    各国との首脳会談を始めた。

 

しかし、首脳会談で会談した

中国国家主席、韓国大統領、米国大統領、

キューバ国家評議会議長、ベトナム主席は

すべて国家元首であって対外代表権があった。

 

そこで、北朝鮮も金正恩に対外代表権が

必要と考えたのかもしれない。

 

◇ もし、北朝鮮が直接選挙によって

    執政長官を信任する大統領制を

   採択すれば、

 

選挙制度を基準にしても、

対外代表権を基準にしても、

 

議院内閣制から大統領制に

移行することになる。

 

一党独裁制も維持するため、

行政機関と立法機関の権力関係には

何も変化がない。

 

変わるのは、執政長官に対外代表権が

付与されることだけである。

 

◇ 大統領に相当する職名としては、

    大統領の他、総統や国家評議会議長

    などがある。

 

そのいずれを使うのか、

また新しい職名を作り出すのかは

わからない。

 

いずれにせよ、金正恩になって

新しい執政制度が始まることになると

考えられる。

 

それは大統領選挙による大統領制であって、

北朝鮮の歴史においては

新しい執政制度になる。

 

多分、4月中には大統領制に

移行するのではなかろうか。  

 

 

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