◇ 大統領は執政長官かつ国家元首として
対外代表権があるのに対して、
内閣首相はただの執政長官であって
国家元首ではないので対外代表権がない。
対外代表権を基準にして考えると、
執政長官が対外代表権を持つのが
大統領制であれば、
執政長官が対外代表権を持たないのが
議院内閣制といえる。
議院内閣制である英国では、
対外代表権は国家元首である女王にあり、
内閣首相には対外代表権が
ないと見なされている。
◇ 北朝鮮では、建国から現在まで
国家元首が4名いる。
主席であった金日成(キム・イルソン)を除いて、
いずれも、立法機関である最高人民会議の
常任委員会委員長が国家元首として
対外代表権を持っていた。
最高人民会議常任委員会委員長は
執政長官ではないので、
儀礼的な役割を担う象徴的な存在である。
◇ 対外代表権の有無は、
外交儀礼に違いが出る。
国賓として外国で迎えられるためには
通常は対外代表権を持っている
国家元首でなくてはならない。
日本は、外国の国家元首は
国賓として迎えるが、
外国の内閣首相は公賓として迎える。
これらは接遇様式が異なる。
金正恩が2019年2月26日から3月2日に
かけてベトナムを訪問する際に、
「国賓として迎えられるのではないか」
という憶測が韓国のメディアを賑わせていた。
だが、対外代表権がない
国務委員会委員長である金正恩を
国賓として迎えるのはかなり難しい。
実際に、金正恩は公式親善訪問として
ベトナムを訪問した。
◇ 金正恩は2018年から
各国との首脳会談を始めた。
しかし、首脳会談で会談した
中国国家主席、韓国大統領、米国大統領、
キューバ国家評議会議長、ベトナム主席は
すべて国家元首であって対外代表権があった。
そこで、北朝鮮も金正恩に対外代表権が
必要と考えたのかもしれない。
◇ もし、北朝鮮が直接選挙によって
執政長官を信任する大統領制を
採択すれば、
選挙制度を基準にしても、
対外代表権を基準にしても、
議院内閣制から大統領制に
移行することになる。
一党独裁制も維持するため、
行政機関と立法機関の権力関係には
何も変化がない。
変わるのは、執政長官に対外代表権が
付与されることだけである。
◇ 大統領に相当する職名としては、
大統領の他、総統や国家評議会議長
などがある。
そのいずれを使うのか、
また新しい職名を作り出すのかは
わからない。
いずれにせよ、金正恩になって
新しい執政制度が始まることになると
考えられる。
それは大統領選挙による大統領制であって、
北朝鮮の歴史においては
新しい執政制度になる。
多分、4月中には大統領制に
移行するのではなかろうか。 完
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