「一国二制度」の香港の姿を見て台湾は考えるべし ① vol.533

 

◇ 香港の議会が紛糾している。

 

    発端は、中国本土への容疑者引き渡しが

    可能になる「逃亡犯条例」改正案であった。

 

この改正案が議会に提出されたのは3月末で、

審議が始まったのは4月初旬。

 

そして5月中旬になった

今もなお審議は紛糾し、

 

議事進行中には

ケガ人が出る騒ぎとなった。

 

「逃亡犯条例」改正案は、

      容疑者の身柄を中国本土に

      引き渡すことを可能にする

      条例であるため、

 

民主派の議員らは

 

「中国に批判的な活動家らが

       引き渡されるおそれがある」

 

という理由で反発している。

 

◇ 審議でケガ人が出る前に、

     多くの市民を巻き込んでの

      街頭デモも行われた。

 

このデモの参加人数は、

主催者発表で13万人以上、

警察発表で22,000人だった。

 

この数字の違いからして、

香港はすでに中国化している。

 

◇ そもそも、「逃亡犯条例」改正案が

     浮上したのは、2018年に香港人の男性が

      旅行先の台湾で交際中の女性を殺害し、

     香港に逃げ帰った事件がきっかけだった。

 

◇ 香港と台湾は犯罪人引き渡しに関する

     協定を結んでおらず、

 

容疑者の身柄を台湾に移送できないことから、

事件当時は台湾と香港で多くの議論を呼んだ。

 

そして出てきたのが

「逃亡犯条例」改正案というわけだ。

 

報道によれば、

香港政府トップの林鄭月娥行政長官は

 

「改正は中国政府の意を

           受けたものではない」

 

と強調。

 

引き渡しの要件を、殺人など

重大犯罪のみに限り、

経済犯罪を除外する方針を示した。

 

親中派が多い商業界の支持を

取り付けようとの考えだ。

 

◇ つまり、行政側が認めたケースはすべて

    この条例にあてはめることができるという、

    非常に柔軟性のある条約となることになる。

 

そこで香港市民および民主派議員が

懸念しているのが、

 

反中的な言動や思想を持つ人が、

「赤狩り」のように中国に

連行されてしまう、ということだ。

 

◇ 香港では、2014年の雨傘革命以後、

     断続的にデモはあったが、

 

それらすべては中国の手によって

握りつぶされてきた。

 

そして4月末、雨傘革命の

中心的役割を担った活動家たちに

禁固刑が言い渡され即日収監された。

 

◇ 話は少し違うが、1月には

   「中国国歌への侮辱行為」に禁錮刑を

     科すことを盛り込んだ国歌法が可決された。

 

香港では、サッカーの国際試合で

香港のサポーターが中国国歌に

ブーイングを浴びせるケースが相次ぐなどで、

中国政府は問題視していた。

 

そこで、香港政府にゴリ押ししたのが

「国歌法」だ。

 

中国国歌を、替え歌などで

意図的に侮辱する行為を禁じ、

 

違反者には最高で3年の禁錮刑と

5万香港ドル(約70万円)の罰金を科すものだ。

 

小中学校での国歌教育実施の

明記のおまけまでついた。

 

◇ こうして、徐々に中国色が

    濃くなっていく香港において、

 

市民は最近では諦めに近い心境なのか、

政治への関心が薄れてきているとも

言われている。

 

どれだけ反対しても、

どれだけ力を終結させても、

 

徹底的に潰される現実を、

香港市民は身をもって知っている。

 

「一国二制度」との建前があるため、

形式的には個々の政府を持ってはいるが、

 

香港側が中国の言いなりになって

立法手続きを行うことで、

香港は中国の思いのままになっている。

 

香港議会は親中派が占めており、

中国に逆らうようなことはない。

 

香港は、これからも真綿で

首を絞められるように、

徐々に中国への同化を強いられている。

                                      つづく

 

 

今日一日の人生を大切に!

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