◇ 抗日戦争中、
中国の900を超える都市が
日本軍に占領された。
今日の若い世代は、
祖父母やさまざまな人たちから、
この戦争についての多くの話を
聞いていると思われるが、
今の団塊の世代より
若い人たちは、
歴史的な事実さえも
詳しくは知らないではなかろうか。
◇ 中国の都市の多くには、
あの戦争の記悟を
根づかせるため、
博物館、記念碑、史跡 などが
無数にある。
記憶の元になる
これらのたくさんの情報源によって、
もはや彼らにとって、
忘れることは不可能になった。
なぜ戦争の亡霊が
いまだに中日関係に
暗い影を落としているのか、
これで大方理解できるだろう。
◇ 両国関係が正常化されて
半世紀が経過したが、
あの時の恨みは、
今も生きているのである。
両国の人々にとって、
戦争中の歴史は、
体験談や記念碑だけで
今日にまで語り継がれているのではない。
政治家の何気ないひと言、
新作映画の公開、
あるいは新たな歴史の本の
出版などによっても、
その記憶はいつでも
彼らに蘇ってくる。
◇ あの戦争は、両国の間に、
いくつものデリケートな
「歴史的象徴」を残しており、
それらは意図的にしろ、
意図的でないにしろ、
過去の残像を鮮明に
「再起動」させることが
できるのである。
そしてそうなれば、
両国間にまた深刻な
緊張や紛争さえも
引き起こすことになる。
過去の紛争の記憶は、
東アジアの国際関係の
あり方を左右する
大きな要素となっているのである。
われわれ日本人は、
歴史という手錠を
かけられているわけではないが、
しかしその手錠の本質について
高い意識を持つことは必要である。
◇ 自宅近くの中華料理屋で
麻婆豆腐を食べながら、
中国人店員に、
「勿忘国恥(ウーワン・グオチー)は
早く忘れてください!」
と言ってみようかと、
そんな衝動にかられる
今日この頃である。
◇ こういった中国人の
歴史認識を踏まえて、
我々日本人は
今後グローバル社会の中で、
どのように彼らに
接していったらいいのか、
こんなことを真剣に
考えなければならい。
最後にもう一度言いたい。
歴史的事実よりも
歴史認識の方が
より重要なのである。
完
今日一日の人生を大切に!
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