ペテロの受難   vol.1095

◇ 天国の門番の聖ペテロのところへ、

 一度に男が三人、昇天してきた。

 

 普通はだいたい、

 パラッ~ パラッと来るんだけれど、

 

同時にやってきたんで

聖ペテロがちょっと驚いて、

 

「何だ諸君たちは?」と訊くと、

 

一人の男が答えた。

 

「私は貧しい道路工夫でして、

  女房も働きに出ております。

 

  毎日、私の方が早く家に帰って

  夕食の支度をするんですが、

 

 実は今日帰ってきますと、

 

寝室にボーっと灯りが

ついているんです。

 

私は思わずカッとしました。

 

エレベーターに乗らずに、

階段を七階まで駆け上がりました。

 

それで、私はドアを足でバーンと

蹴破って中に入り、

 

ローンで買った29インチの

テレビを窓の外に投げ出し、

 

冷蔵庫を持ち上げて

これを外へ投げました。

 

なにしろ道路工事の仕事を

やっていますから、

体力だけは自信があったんです。

 

いよいよ寝室のドアを

バーンとあけました。

 

そうしたら女房が……

 

女房がベットの上でニッコリ笑って、

編み物をしているじやありませんか。

 

それを見た途端に、

私は心臓マヒを起こして

死んじゃったんです。

 

女房がてつきり浮気をしているものと

私は思い込んだんです。」

 

◇ 聖ペテロが次ぎの男に尋ねた。

  ・・・・・

「君はどうして来ることになったんだ?」

 

「散歩してましたら、

 頭の上から冷蔵庫が降ってきまして、

 即死した男です。」

 

「で、君はどうした?」

 

3人目の男に聖ペテロが尋ねると、

 

最後の男が、

 

「実は私は、

 その冷蔵庫の中にいたんです!」

 

*間男はたいていベットの下とか
 ベランダに隠れるのが相場ではあるが
 冷蔵庫に入るところが実におもしろい。

 

 

今日一日の人生を大切に!

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