◇ ロシアの皇太子ニコライの 日本訪問は、
1891年(明治24年)、
滋賀県で警備の巡査・津田三蔵に
切りつけられて負傷した、
あの 大津事件 である。
◇ 裁判では、津田は死刑を免れ、
無期徒刑となり、
日本政府内では、外務大臣(青木周蔵)と
内務大臣(西郷従道)が責任を負って辞職した。
◇ その皇太子ニコライの随行者に
ウラジミールという海軍士官がいた。
いかなる縁かは定かではないが、
長崎滞在中に日本人女性タカと恋に落ちた。
そしてタカは身ごもり、
海軍士官はやがてロシアに帰る。
◇ タカは手紙で
ウラジミールに知らせている。
「娘が生まれました。
富士山にちなんで
オフジと名付けました」
◇ ウラジミールの姓は、
メンデレーエフ
彼の父親は元素の周期表で
科学史に名前を刻んだ科学者
ドミトリー・メンデレーエフ である。
(1834〜1907)
タカの手紙はサンクトペテルブルクの
メンデレーエフ博物館・文書館に
保存されている。
◇ ウラジミールは33歳で病死し、
その後は父であるドミトリーが
タカへの送金を続けた。
化学者は遠い島国で暮らす孫娘を
案じながら晩年を過ごしたという。
◇ 二ホニウムは、
原子番号113の元素
原子記号は Nh
2015年、
元素合成に成功した理化学研究所に、
原子番号113の命名権が与えられた。
◇ ニホニウムという元素は、
合成して 平均0.002秒 で、
別の元素に姿を変えて
壊れていくという。
ウラジミールとタカの
はかなく切ない恋のようである。
今日一日の人生を大切に!
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