◇ 連日乱高下相場が続く、
米国・日本の株式市場。
3月17日時点の米株・日経平均
TOPIX・ドル円レートから勘案すると
GPIFが未曽有の損失を出して、
(GPIF:年金積立金管理運用独立行政法人)
2019年の4~12月までの
累計収益すべて失い、
新型ウイルス起因による損失を
出していることがわかる。
もちろん確定的なことは
今年の6月以降を待たざるを得ない。
だが、年間トータルで
運用原資を減らすという、
まさかの事態が現実になろうとしている。
◇ GIPFでは四半期ごとに運用状況を
速報という形で公開しているが、
それによると、2019年4~12月の
第三四半期までの累計は、
日本株の株高、外国株(とくに米株)の
株高を背景に比較的好調な運用成績を
残してきたことがわかる。
参考:https://www.gpif.go.jp/operation/
pdf/2019-Q3-0207-Jp_035988.pdf
◇ 国内債券は超低金利で
ほとんど収益はないが、
国内株式は配当を含めて 累計 9.63%
外国債券は円ベースで 2.58%
外国株式は円ベースで 11.24%
という運用成績で、
累計12兆581億円
を稼いだ勘定になる。
しかし、
この数字は国内株式では、
日経平均 2万3,656円
NYダウ 2万8,548.44ドル
ドイツDAX 1万3,249.01
あたりの数字で
はじき出されたものである。
したがって、
この2月から3月にかけての
立て続けの世界的な株式市場の暴落と、
ドル円レートの急激な円高傾向のもとで
下げが続いており、
莫大な損失が出ていることは
想像に難くない。
◇ 奇しくもGPIFは、
この春から投資対象の市場の
アロケーション比率を、
国内株から海外へと
振り替えようとしている矢先であった。
どれだけ売却と切り替えが
進んでいるのかはわからないが、
総額168兆9,897億円の資産運用額を
当初設定している
ポートフォーリオ比率で継続運用して、
市場の騰落率と
同様の損失が出ている場合、
株式だけですでに16兆円 という含み損、
債券でも 5兆円以上 の損失を
抱えていることになる。
そして、その含み損は
現在進行形で増えている。
◇ ここから年度末までに
どれだけ相場が戻すのか、
あるいはさらに
底に向かって下落するのか。
相場次第で損失額は変化するが、
現状で見ても累積収益の12兆円は
完全に溶けてしまっており、
さらにプラス10兆円の原資を
失ってしまった可能性が非常に高い。
◇ ここからポートフォーリオの
組み換えを行った場合には、
さらに確定損失は
大きくなることが予想され、
なによりドル円が大きく円高に
振れているため、
円ベースでの損失は想定以上に
大きくなることも考えられる。
ざっと12月までの累計収益の
倍の損失を計上して、
投資原資を減らしてしまっていることは、
間違いないようだ。
しかも含み損は今後も
さらに拡大することは十分にあり、
GPIFによる運用始まって以来の
大損失となることはもはや確定的な状況だ。
◇ そんな中で、3月24日、
新理事長に企業年金連合会の
宮園雅敬理事長(66)を
起用すると正式に発表した。
しかも巨額の不良債権を抱えていると
噂される農林中金出身である。
◇ 結局、だれも損失の責任を
負うことはなく、
負債だけがGPIFに残るという
実に不甲斐ない状況になってしまった。
もちろん、新型ウイルス起因の
パンデミック暴落相場などは想定外であり、
損失が出ても不可抗力であると
言ってしまえばそれまでだが。
だが、それではこれまで
そんなに上手い投資を
行ってきたのかといえば、
毎年それなりの損失を
計上してきたのもまた事実。
もはや老後2,000万円が足りないといった
のんきな話をしている場合ではない。
そうでなくても日本の景気は
消費増税に新型コロナの追い打ちで、
もはや金融崩壊の事態に陥ろうとしている。
こうした現実の状況を考えると、
年金崩壊も現実味を帯びてくる。
空恐ろしくなる事態が進行しつつある。
今日一日の人生を大切に!
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