2021年米中は国交断絶へ突き進む ③  vol.701

こうした人材登用計画のなかでも、

  報告書で一番の批判の

    対象になっているのは、

 

2008年に胡錦涛政権が始めた

1,000人計画」である。

 

これは2,000人の先端的な研究分野の

研究者をリクルートする計画だったが、

 

2017年には 7,000

高度な専門家の引き抜きに成功し、

当初の目標を大きく上回った。

 

引き抜かれた研究員のほとんどは、

中国の国立大学や、国立の研究機関で、

高いサラリーが提供されて研究を継続している。

 

こうした研究者のなかには、

  アメリカの研究所に

  在職していたときから、

 

 すでに中国政府の資金提供を

 受けていた人々もおり、

 

彼らはその事実をアメリカには報告せず、

秘密にしていたという。

 

これは、アメリカにおける

研究資金提供の規定に違反する行為となる。

 

そして中国政府は、

1,000人計画」を中心にして、

 

2008年から2020年までに

GDP15%に相当する2兆ドルを

人材のリクルートのために

支出したとしている。

 

これは中国政府にとっては、

非常に見返りの大きい計画だった。

 

アメリカ国民の税金が支出された

研究の成果を中国が獲得し、

 

自国の軍事と科学技術の発展のために

使うことができるのである。

 

報告書では、中国政府は

 「1,000人計画」の実態を隠蔽するために、

 

201810月にこの計画にかかわる

すべての情報をネットから削除している。

 

いまでは、この計画で中国に引き抜かれた

研究員や専門家の名前は分からなくなっている。

 

そしてこの報告書は、

 研究員と専門家の引き抜きにあった

 研究所の多くは、エネルギー省が

 管轄している機関だとしている。

 

こうした機関では最先端の

テクノロジーにかかわる

先端的な研究が行われているが、

 

中国にリクルートされた研究者によっては、

自分がこれらの機関で開発した

テクノロジーの特許を中国の会社名で

登録したケースもあるとしている。

 

これは米国民の税金の支出で

可能になった研究の特許が、

中国に奪われてしまうという

とんでもないケースだ。

 

また、中国に帰国する前に

l在籍していた米研究機関から

3万個のファイルをダウンロードして

持ち帰った研究者もいるそうだ。

 

一方報告書では、

 このようなことが2008年以来

 10年以上も続いているにもかかわらず、

 

人材を引き抜かれた研究機関は

こうした事態に対して反応が非常に鈍く、

特別な対策はないとしている。

 

これは大学や研究機関だけではなく、

  研究資金を提供元である

 「全米科学財団」や「国立衛生研究所」、

  エネルギー省も同様だ。

 

それというのも、

研究機関が引き抜きの事実と

それがアメリカにもたらす

危険性について意識し始めたのは、

201810月になってからだった。

           つづく

 

 

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