ゾウさんのゾンビ遺伝子がガン細胞を抹殺 ② vol.635

 

◇ リンチ氏のグループは、

    ゾウさんと小型哺乳類を対象に、

 

他の遺伝子の違いについても調査を行った。

 

特に注目したのは、複製が多い遺伝子だ。

 

その結果、浮かび上がってきたのが、

生殖能力を高める働きのある

LIF遺伝子」の1つ、LIF6 だった。

 

しかし、リンチ氏はLIF6には別の機能、

 

つまり傷ついた細胞を殺す役割が

あるのではないかと考えた。

 

小さなウサギから巨大なクジラまで、

ほとんどの哺乳類には

LIF遺伝子が1組しかない。

 

しかし、ゾウさんには

たくさんのLIF遺伝子がある。

 

そして、これまでのところ、

LIF6はゾウさんからしか見つかっていない。

 

◇ 今回の研究によれば、

    LIF6がゾウさんの遺伝子に登場したのは、

    約5900万年前だという。

 

最初、これは役立たずの

壊れた遺伝子でしかなかったようだ。

 

しかし、ゾウさんの先祖が

進化するにつれて、

 

この遺伝子も進化し、

やがてゾンビのように蘇った。

 

ゾウさんがガンに悩まされない

大きな体を手にすることができたのも、

この復活のおかげかもしれない。

 

◇ P53が遺伝子の診断を行う

    医者だとすれば、

 

LIF6は、傷ついた細胞を抹殺する

いわば 殺し屋だ。

 

リンチ氏のグループは、研究室で

ゾウさんの細胞のDNAを破損して、

LIF6遺伝子の機能を調査した。

 

その結果、

 

破損を見つけたP53

LIF6遺伝子を作動させ、

 

LIF6が破損した細胞を殺したと

考えられる現象が観察された。

 

リンチ氏は、ガンを防いでいるのは、

    このゾンビ遺伝子だけというわけではなく、

 

LIF6は、もっと大きな仕組みの中で

   小さな役割を果たしているにすぎない」

 

と言う。

 

なるほど、

これからさらに重大な発見がされる

可能性を秘めているということになる。

 

◇ ゾウさんのガン予防機能を

    研究する究極の目的は、

   人間のガン治療への応用だ。

 

LIF6の進化については、

5900万年の進化が必要であった。

 

5900万年をかけて、

自然がガンを予防する最善の方法を

見つけようとしている。

 

つまり研究者たちは、

その自然の叡智に触れることで、

 

人間のガンを克服するその方法を

見出そうとしているのである。  完

 

 

今日一日の人生を大切に!

 

 

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