◇ 計画経済の中国では、
政府の政策は時間差なく、
企業の投資行動になる。
人民銀行が元を刷って銀行に貸して、
銀行は増えたマネーを企業に貸す。
これが08年のあと、
企業負債の増え方が大きくなった原因だ。
この点も、政策の波及時間が長い先進国と違う。
◇ 人民銀行のB/S(資産=負債)の規模は、
元発行の金額を示す。
2017年5月で、580兆円 に膨らんでいる。
米国のFRBが4.14兆ドル(455兆円)、
日銀が553兆円(19年1月)
世界の中央銀行の約100年の歴史で、
異例な異次元緩和を行っている日銀より、
人民銀行の通貨発行が多い。
住宅建設、商業用ビル建設、道路、
電力、通信の固定資本投資を
増加させるための元の増発を行ったからだ。
◇ 日本や米国では、
中央銀行が通貨を増発するときは、
代替資産として国債を買う。
ところが中国では、
人民銀行がドル債を買って元を発行する。
人民元は、
世界にはあまり知られていないが、
ドル準備制の通貨なのだ。
理由は、元と中国国債は、
資本が自由化されてないので、
国際的な信用が低い。
資本の自由化とは、
企業や個人が自由に、
外貨を買うことができるということ。
政府は
「中国人の、ドル買い/人民元売り」を恐れ、
外貨への交換に制限を加えている。
資本を自由化すると、
共産党政府と人民元の価値を
信用していない富裕者の多くが
「ドル買い/元売り」に殺到するからだ。
◇ 中国では、
建設会社が建物の骨組みを売り、
買った人が内装と設備をする。
このため、売れ残って夜間に照明が
つかない骨組みだけの建物は、
幽霊の屋敷に見えるので、
「鬼城」と言われている。
◇ 建設する企業部門の負債は、
2008年は3.9兆ドル(429兆円)と、
GDPに対して97%と
他国よりは大きかったものの、
妥当での線。
これが、2018年の3月には、
22兆ドル(2420兆円)に膨らみ、
GDP比 184% という残高になっている。
年平均の増加率は21%と、
GDPの増加である10%程度の2倍である。
平均増加額は、2兆ドル(220兆円)
GDP比で1.8倍の企業部門の総負債は、
日本の国債(GDP比約200%)と同じく、
異常な大きさだ。
◇では、
なぜこんなに企業の負債が増えたのか。
年平均1,000万戸の建設した住宅に、
鬼城のままの売れ残り在庫が
出ているからだ。
新築の価格は、
多くが売れていないので、
下がっていない。
毎年、建築が行われた当初の
新築価格をそのまま使用した
統計になっているからだ。
なるほど。 つづく
今日一日の人生を大切に!
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