リーマン級のバブル崩壊危機に向かう中国 ② vol.459

 

◇ 計画経済の中国では、

    政府の政策は時間差なく、

   企業の投資行動になる。

 

人民銀行が元を刷って銀行に貸して、

銀行は増えたマネーを企業に貸す。

 

これが08年のあと、

企業負債の増え方が大きくなった原因だ。

 

この点も、政策の波及時間が長い先進国と違う。

 

◇ 人民銀行のB/S(資産=負債)の規模は、

      元発行の金額を示す。

 

2017年5月で、580兆円 に膨らんでいる。

 

米国のFRBが4.14兆ドル(455兆円)、

日銀が553兆円(19年1月)

 

世界の中央銀行の約100年の歴史で、

異例な異次元緩和を行っている日銀より、

人民銀行の通貨発行が多い。

 

住宅建設、商業用ビル建設、道路、

電力、通信の固定資本投資を

増加させるための元の増発を行ったからだ。

 

◇ 日本や米国では、

   中央銀行が通貨を増発するときは、

   代替資産として国債を買う。

 

ところが中国では、

人民銀行がドル債を買って元を発行する。

 

人民元は、

世界にはあまり知られていないが、

ドル準備制の通貨なのだ。

 

理由は、元と中国国債は、

資本が自由化されてないので、

国際的な信用が低い。

 

資本の自由化とは、

企業や個人が自由に、

外貨を買うことができるということ。

 

政府は

「中国人の、ドル買い/人民元売り」を恐れ、

外貨への交換に制限を加えている。

 

資本を自由化すると、

共産党政府と人民元の価値を

信用していない富裕者の多くが

「ドル買い/元売り」に殺到するからだ。

 

◇ 中国では、

   建設会社が建物の骨組みを売り、

    買った人が内装と設備をする。

 

このため、売れ残って夜間に照明が

つかない骨組みだけの建物は、

 

幽霊の屋敷に見えるので、

「鬼城」と言われている。

 

◇ 建設する企業部門の負債は、

    2008年は3.9兆ドル(429兆円)と、

 

GDPに対して97%と

他国よりは大きかったものの、

妥当での線。

 

これが、2018年の3月には、

22兆ドル(2420兆円)に膨らみ、

GDP比 184% という残高になっている。

 

年平均の増加率は21%と、

GDPの増加である10%程度の2倍である。

 

平均増加額は、2兆ドル(220兆円)

GDP比で1.8倍の企業部門の総負債は、

 

日本の国債(GDP比約200%)と同じく、

異常な大きさだ。

 

◇では、

なぜこんなに企業の負債が増えたのか。

 

年平均1,000万戸の建設した住宅に、

鬼城のままの売れ残り在庫が

出ているからだ。

 

新築の価格は、

多くが売れていないので、

下がっていない。

 

毎年、建築が行われた当初の

新築価格をそのまま使用した

統計になっているからだ。

 

なるほど。            つづく

 

 

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