◇誰に言われたのかも忘れてしまったが、
もうかれこれ40年ぐらい前に
出版された本を「読んでみなさい」
と紹介されたことがある。
それは
<日本人にとってキャリアとは
─人脈のなかの履歴> という本であった。
トンビは日経新聞の「私の履歴書」の
愛読者であり、
タイトルを聞いただけで大変興味が湧き、
早速探したところ、
アマゾンの中古で8,000円で出回っていたので、
思い切って買ってみた。
(現在は少し安く購入できるようです。)
本日はこの本を紹介することにした。
これも何かの縁である。
◇「私の履歴書(日経新聞)」に登場する
経済人のキャリア形成について、
社会学的な見地から3人の社会学者が論考している。
とくに
「対人関係の側から眺めた個人の履歴」 という、
まさに
「縁がどのように、
一人ひとりのキャリアに影響したか」
について研究されている。
この本の中に、
「個人の履歴とはいっても、
それは、実のところ、
当人が掛かり合ってきた人たちと
分かちもつ間柄の、いわば「軌跡」なのである」
という言葉が出てくるが、
まさに、そういうことだろう。
別の箇所では、
「経歴を持つということは、
他の人たちとの一連のかかわりの中に
巻き込まれるということだ」
「特定の間柄は、それ自体で完結した
自律的な「きずな」を成しているのではなく、
つねに他の諸関係と連関し合い、
それらからの影響も受けるような、
一つの大きな人脈システムの
下位部分にあるに過ぎない」
要するに、<縁>という観念の下では、
「連続性の中ではじめて人間関係が成立する」
ということになる。
◇ これを別の言葉で言い換えると、
「人は自分中心に生きているのではなく、
網の目のような人間関係の中に
生かされている」
といった解釈もできるのではないだろうか。
縁と、その縁への感謝が
「まわり回って、巡り巡って」
将来の縁が広がっていくことにつながる、
ということも言えそうだ。
◇ このように多くの示唆に富む書籍であるため、
ぜひ手に入れて欲しい書籍ではあるが、
そんな浪費はできないとい人のために
あえてとトンビが、この本まるごとを、
一文にまとめて、「トンビ超訳」するならば、
「人間は自分の力で運命を切り拓くのではなく、
縁によって運命が切り拓かれる存在」
ということになろうかと思う。
自分の力で何ごとかを成す、
あるいは成した、
などというのは大いなる勘違いであって、
生まれ落ちてよりこの方の、
「無数の人の縁の絡まり合い」によって、
人生(あるいはキャリア)が
形成されているに過ぎない
ということかもしれない。
そこに謙虚さを持ちつつ、
だからこそ
「袖触れ合うも他生の縁」の思いで
「一期一会の精神」を大切にする必要がある。
◇人間関係(=運命)は、どこで、誰と、
どのように、つながって転がり始めるのか、
一寸先ですらわからない。
だからこそ一定の緊張感を持って
人間関係を紡ぎ、育む必要があるのだろう。
<今日の名言>
どのような道を
どのように
歩こうとも
いのちいっぱいに
生きれば
いいぞ
子供への一首 相田みつお
今日一日の人生を大切に!
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