人間は「縁」によって運命が切り拓かれる vol.369

 

◇誰に言われたのかも忘れてしまったが、

   もうかれこれ40年ぐらい前に

   出版された本を「読んでみなさい」

   と紹介されたことがある。

 

それは

 <日本人にとってキャリアとは

         ─人脈のなかの履歴>  という本であった。

 

トンビは日経新聞の「私の履歴書」の

愛読者であり、

タイトルを聞いただけで大変興味が湧き、

 

早速探したところ、

アマゾンの中古で8,000円で出回っていたので、

思い切って買ってみた。

(現在は少し安く購入できるようです。)

 

本日はこの本を紹介することにした。

 

これも何かの縁である。

 

◇「私の履歴書(日経新聞)」に登場する

      経済人のキャリア形成について、

 社会学的な見地から3人の社会学者が論考している。

 

とくに

「対人関係の側から眺めた個人の履歴」 という、

 

まさに

「縁がどのように、

     一人ひとりのキャリアに影響したか」

 

について研究されている。

 

この本の中に、

 

「個人の履歴とはいっても、

   それは、実のところ、

 当人が掛かり合ってきた人たちと

   分かちもつ間柄の、いわば「軌跡」なのである」

 

という言葉が出てくるが、

まさに、そういうことだろう。

 

別の箇所では、

 

「経歴を持つということは、

   他の人たちとの一連のかかわりの中に

 巻き込まれるということだ」

 

「特定の間柄は、それ自体で完結した

   自律的な「きずな」を成しているのではなく、

   つねに他の諸関係と連関し合い、

    それらからの影響も受けるような、

   一つの大きな人脈システムの

      下位部分にあるに過ぎない」

 

要するに、<縁>という観念の下では、

「連続性の中ではじめて人間関係が成立する」

ということになる。

 

◇ これを別の言葉で言い換えると、

 

「人は自分中心に生きているのではなく、

    網の目のような人間関係の中に

   生かされている」

 

といった解釈もできるのではないだろうか。

 

縁と、その縁への感謝が

 「まわり回って、巡り巡って」

将来の縁が広がっていくことにつながる、

ということも言えそうだ。

 

◇ このように多くの示唆に富む書籍であるため、

 ぜひ手に入れて欲しい書籍ではあるが、

 

   そんな浪費はできないとい人のために

 あえてとトンビが、この本まるごとを、

 一文にまとめて、「トンビ超訳」するならば、

 

「人間は自分の力で運命を切り拓くのではなく、

 縁によって運命が切り拓かれる存在」

 

 ということになろうかと思う。

 

自分の力で何ごとかを成す、

あるいは成した、

などというのは大いなる勘違いであって、

 

生まれ落ちてよりこの方の、

「無数の人の縁の絡まり合い」によって、

人生(あるいはキャリア)が

形成されているに過ぎない

ということかもしれない。

 

そこに謙虚さを持ちつつ、

だからこそ

 

「袖触れ合うも他生の縁」の思いで

「一期一会の精神」を大切にする必要がある。

 

◇人間関係(=運命)は、どこで、誰と、

    どのように、つながって転がり始めるのか、

 一寸先ですらわからない。

 

だからこそ一定の緊張感を持って

人間関係を紡ぎ、育む必要があるのだろう。

 

<今日の名言>

どのような道を

どのように 

歩こうとも

いのちいっぱいに

生きれば

いいぞ

    子供への一首    相田みつお

今日一日の人生を大切に!

 

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