パンドラの箱の由来  vol.275

 

◇ 私には大好きな詩がある。

     それはヘーシオドスの詩だ。

 

パンドラの物語も、

彼によって謳われた一節である。

 

そして、パンドラが地上に降り立つ前に、

こんな物語が語られていた。

 

◇ ゼウスは

 

「人間どもに苛酷な苦悩を与えるべく

    思案の末に火を隠してしまわれた」

 

しかし奸智に長けたプロメテウスは、

その火を盗み出して人間に与えてしまった。

 

怒ったゼウスは、

 

鍛冶の神ヘパイストスに命じて

土と水をこねて女の人形を作らせ、

 

工芸の女神アテネに命じて

機織りの技術を教えさせ、

 

愛の女神アフロディテに命じて

色恋の技を、

 

ヘルメスに命じて

人を欺く性根を植え付けさせた。

 

神々はこうして生まれた女に

あらゆる贈り物を与えたので

 

彼女の名前は「パンドラ」と呼ばれた。

 (あらゆる贈り物を持つ女の意味)

 

パンドラが人間の間に現れると、

神々が人間に復讐することを恐れた

プロメテウスは、弟のエピメテウスに、

 

「神々からの贈り物は受け取るな」

 

「後ろ手に投げ捨てろ」

 

と忠告したが、

 

エピメテウスは忠告を忘れて

受け取ってしまったのである。

 

そしてパンドラが

その贈り物の箱の蓋を開けたため、

 

あらゆる人間の不幸、

病気がまき散らされてしまった。

 

そして「期待」(エルピス)だけは

壺の蓋が閉じられたため、

 

外に飛び出すことができなかった。

 

 

◇ 短編ではあるが、

 この物語には人間の本質が

 すべて描かれている。

 

とても思慮に溢れた内容になっていると

感じないだろうか?

 

人間として生きるうえで、

こういった物語と出会い、文脈を理解し、

 

生き方について考えることは

とても重要なことだと思う。

 

◇ そんなヘーシオドスが以下のような

     詩を残している。

 

====ヘーシオドスの詩====

 

すべてをみずから悟る者こそ、

こよなくすぐれた人、

そして、他人の語る善き言葉にしたがう者、

これもまた立派な人。

けれども、みずから悟ることなく、

他人から聞いても、

その言葉を胸に留めぬ者、

そのような者こそは碌でなし。

 

================

 

◇ 悟ることができず、

 

    自分自身の世界だけで生き、

 

    周りからの言葉を受け入れることが

    できない人間ほど、

 

 愚かなものはない。

 

他人の言葉をどのように受け止め、

日々の活動に取り入れているだろうか?

 

己を省みる時間、内省こそが

大きな気づきを与えてくれることにつながる。

 

 

今日一日の人生を大切に!

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