◇ 平成最期の夏、夏休み、盆休みは
きちんと取れただろうか?
「かえって疲れた」という話もよく聞かれるが、
それは
「疲れを自覚できるようになっただけで、
溜まった疲れを取る作業はそこからスタート」
ということになるのである。
その疲労を除去するには
最低2週間は必要だと語るのは、
健康社会学者の河合薫氏。
河合氏は自身のメルマガの中で、
「日本では分割基本の有給休暇取得が
世界では原則「連続」しか認められていない」
という事実を紹介した上で、
「なぜまとめて取るのが大原則なのか?」
について解説している。
◇ 日本では有給休暇取得は
「分割」が基本だが、
世界は 「連続」 が基本。
国際労働機関(ILO)は、
原則として有給休暇の分割取得を認めていない。
では 「なぜ、まとめて取るのが大原則なのか?」
それは 「蓄積疲労」 という症状に起因する。
◇ この「蓄積疲労」は
「頭痛、肩こり、イライラ、やる気がでない、
眠れない、ケアレスミス、疲れやすい」
などの症状として現れる疲労で、
最悪の場合、うつや突然死につながる
極めて深刻な状態をいう。
蓄積疲労を訴える人は、
1980年代後半以降急増した。
原因は精神的緊張や心的負担を伴う
仕事が増えたことに加え、
企業でのリストラの加速、
成果主義の浸透、
さらにはインターネットや
スマートフォンの普及などで
ストレスの質が変わってきたことに起因する。
◇ 精神的緊張や心的負担を伴う仕事には、
適度な運動、精神的なゆとり、
遊び、お喋り、笑い、など、
心的疲労を癒す “ 資源 ” と、
「仕事を忘れる時間」が必要不可欠なのだ。
食べて寝るだけで
自然に消えていくものではない。
例えば、お盆休み明けは
やる気が出なかったり、
夏季休暇などで休むと「余計疲れが出る」
という経験は誰でもあるはずだ。
これは疲れが蓄積し機能障害に陥っていた
“疲れのセンサー”が回復したことを意味している。
つまり、「休んで疲れが出た」のではなく
「疲れを自覚できるようになった」だけ。
溜まった疲れを取る作業は、
そこからスタートするのである。
◇ 河合氏のブログによると
疲れのセンサーが回復するには1週間。
心身の疲れを取るのにさらなる1週間。
最低でも2週間 は「休息」に
必要ということになる。
疲労はいわば “ 借金 ” と同じだ。
放っておけば、どんどんと利子がついて
にっちもさっちもいかなくなる。
「眠れない」「朝、起きられない」
「休日にゴロゴロしても休んだ気がしない」
といった症状を長引かせると、
うつなどにつながるリスクが高まる。
◇ 2012年に厚生労働省疲労研究班が
実施した調査では、
4割の人が半年以上続く
慢性的な疲労を感じており、
そのうち2.1%は日常生活に
支障をきたすような蓄積疲労に陥っていた。
欧州では1990年代初頭、
すでに
「疲れはきちんととらないと蓄積され、
病める労働者を量産する」
との知見が広まっていた。
そこで1年に1回はまとめて
休暇を取ることの重要性が指摘され、
ILOもそれに追従したのだ。
しかしそういった事実は日本には
伝わってこなかった。
いや、伝わってはきたが
隠蔽されたのかもしれない。
◇ 2週間以上連続して休めない我々は
想像以上に疲れている。
知らないうちに疲れの借金に
まみれているのである。
今年はもう無理かもしれないが、
来年は長期休暇に挑戦してみてはいかがだろうか。
これも働き方改革のひとつであり、
もし実現できれば、
ストレスで心を病む人も激減するに違いない。
今日一日の人生を大切に!
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