堂々巡りのサマータイムは導入なるか vol.347

 

◇ 記録的な猛暑を受け、

     全国一律で夏に時間を早める

     サマータイムの導入が政府・自民党内で

     取り沙汰されている。

 

2020年東京五輪・パラリンピックの

暑さ対策の1つとして、

 

大会組織委員会が政府に

提案したのがきっかけだ。

 

過去も何度か導入案が検討されながら

見送られた歴史がある。

 

長所と短所の両面があり、

決め手を欠いたためだ。

 

サマータイムは日照時間の

     長い夏の一定期間、

    時刻を1~2時間早める制度だ。

 

緯度が高く、夏と冬で日照時間の差が

大きい地域で採用されることが多く、

 

欧州や北米を中心に

60を超える国で導入実績がある。

 

日本も戦後にGHQ(連合国軍総司令部)

の指示で実施され、

わずか4年で廃止された歴史がある。

 

米国では3月の第2日曜日の

午前2時に時計を1時間進め夏時間にする。

 

11月の第1日曜日の午前2時に戻す。

 

◇ 夏の明るい夕~夜を

     仕事や娯楽などの活動に使える。

 

経済的なメリットもある。

 

省エネや温暖化ガス削減だ。

 

まず照明をつける時間が減る。

 

気温が比較的低い朝から活動を始めると

冷房の使用も減る。

 

夕に余暇が増え

消費拡大になるかもしれない。

 

◇ では、デメリットは何か。

 

欧州では生活リズムが変わり

体調に悪影響があると懸念が膨らむ。

 

社会・経済的なコストもある。

 

導入は日付や時刻が関わる

すべてのシステムに影響を与えるからだ。

 

航空機や電車の運行に

障害が生じれば生死につながる。

 

企業の決済などにも波及し、

システム変更は膨大だ。

 

行政のシステム改修には

約5年かかると見積もられている。

 

◇ 今回の導入論の契機は

    20年7月下旬に開幕する東京五輪への懸念だ。   

 

欧米メディアが開催時期そのものに疑問を呈し、

さらなる対策が必要だと盛んに報道した。

 

組織委会長の森喜朗元首相は

 

「外国からいろんな声が出ている。

      何もしないわけにはいかない」

 

 と話す。

 

開催時期の変更は

 

「国際オリンピック委員会(IOC)

                              との契約で難しい」

 

という。

 

具体的な議論はこれからだ。

 

◇ 安倍晋三首相は森氏の要請を受け、

    自民党に議論するよう求めた。

 

「明るい時間帯を余暇に充てれば

                       活動の幅が広がる」

 

「システムトラブルが起き、

    日常生活や企業活動に悪影響が出る」

 

賛成、反対の意見はどちらももっともだ。

 

ただ、やはり長所短所ともにあり、

国民生活に多大な影響がある話だ。

 

拙速にならないよう十分な議論が必要だ。

 

◇ 石油ショックを機に1970年代から

    浮上した導入論は何度も浮かんでは消えた。

 

今回の東京五輪が最後のチャンスかもしれない。

 

過去に議連がまとめた法案は

3度とも提出に至らなかった。

 

経緯をみると必ずしも反対派が

賛成派を論破したわけではない。

 

大会組織委員会の森喜朗会長も

「国会で最重要課題とならない」と指摘する。

 

この機会に一度、国会で議論を深めなければ、

堂々巡りの歴史は報われないと思う。

 

<今日の名言>

少しだけ達成したいのなら、

少しだけ犠牲にすればいい。

 

多くを達成したければ、

多くの犠牲を払う必要がある。

 

高みに到達したければ、

それに見合った犠牲を払わなければならない。 

                                   ジェームス・アレン

 

*犠牲を払わなければ現状は打破できません。

 

 

今日一日の人生を大切に!

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