◇ 本日ご紹介する一冊は、
ノーベル化学賞の受賞した吉野彰氏が、
「化学への興味の原点」として挙げて
話題となった書『ロウソクの科学』
ベンゼンや電磁誘導を発見、
電解物質における「ファラデーの法則」
で知られるイギリスの科学者、
マイケル・ファラデーによる化学講義で、
その内容は感動的と言ってもよい。
◇ ロンドンの貧しい鍛冶屋の家に生まれ、
歴史に名を残したファラデーが、
1本のロウソクを用いて子どもたちに
科学の面白さ、責任、科学的思考を説き、
彼らを未来へいざなう。
◇ 1861年のクリスマス休暇に、
ロンドン王立研究所で催された
連続六回の講演記録がもとになっているが、
この講演は当時、ファラデーの
話術と名声によって評判を呼び、
ロンドンのあらゆる階層を
夢中にさせたようだ。
シンプルかつユーモラスな説明で、
科学の意義や危険性、貧困問題や
環境問題の本質的意味までが説かれており、
子どもたちには
ぜひ読ませておきたい内容だ。
◇ 人を育てるものは、究極、
志や社会への責任感だと思うが、
ファラデーは本書で、
まさにこの志と責任感を教えている。
表面上は科学の本であるが、
中身の実体は、子どもたちに向けた、
啓発の書となっている。
◇ 大人でも、胸に熱いものが
こみ上げてくるため、
これを読んだ子どもたちは、
いかに大きな志を持つだろうと、
思わざるを得ない。
まずは公演の内容を紹介する。
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ダイヤモンドの夜の光輝は、
それをてらす炎のおかげでしかありません。
炎こそは、闇に光をはなつものであります。
しかし、ダイヤモンドの光は、
炎にてらされて輝くまでは、
何ものでもありません。
ロウソクは、ひとりで
みずからのために輝やき、
また、ロウソクをつくった人のために
輝やくのであります
(中略)
すべてのものは、おそかれ早かれ、
まちがいなく終わりにくるものではありますが、
この講演の終わりにあたりまして、
私が皆さんに申しあげることのできるすべては、
皆さんが皆さんの時代がきたとき、
一本のロウソクにたとえられるのに
ふさわしい人となっていただきたいということ、
そしてまた、皆さんが、ロウソクのように
皆さんのまわりの人びとに対して光となって
輝やいていただきたいということ、
皆さんのあらゆる活動の中で皆さんが、
皆さんとともに生きる人類に対する義務を
果たすことにおいて、
皆さんの行為を光栄あり、
かつ効果あらしめることによって、
ロウソクの美を正当化していただきたい
ということの希望であります。
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◇ ファラデーの子どもたちへの
温かい目線、
次世代に叡智をつなごうとする
真摯な姿勢に胸を打たれる。
子供だけでなく、
大人にもぜひ読んでほしい。
今日一日の人生を大切に!
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