◇ 臨済宗の僧侶が禅の教えを
ひもときながら、悩みや苦しみを上手に
忘れるコツを教えてくれた。
人は “忘れる力” を磨けば、
人生がもっと充実したものになる、と。
◇ 私たちは、つらい思い出など、
消化できない多くのものを
抱えて生きている。
ネガティブな思いは捨ててしまえば
ラクになるのに、なかなかできない。
それが人間というものだ。
捨てるという行為が難しいのは、
「あんなつらい経験を
わすれることなどできない」
といった思いが根底にあるからだ。
そういう思い込みや執着やこだわりは、
すべて自分で作り出したものである。
◇ どうしても、暗い過去や嫌な出来事を
思い出してしまうのであれば、
何か新しいことを始めて、
記憶に「上書き」するとよい。
すなわち新しく夢中になれる
「次」を見つける。(仕事、愛人、etc)
執着は本能的な欲求であり、
忘れ去ろうとしても、
心の中にわきあがるものだ。
したがって、自分は
「何かにこだわる傾向がある」
と意識しておくといい。
そうすれば、執着している自分の心を
客観視し、落ち着いて考えられるようになる。
◇ 人間は常に何かを求め続けているが、
ほとんどは成就しない。
そのことを仏教では、
「求不得苦」 という。
求めてもそれが得られない苦しみのことだ。
人は生きていく上で、欲をゼロにすることが
できないため、この苦しみはなくならない。
「時薬」という言葉があるように、
時間はすべてを解決する一番の薬になるのである。
つらい気持ち、苦しい思い、悪い思い出は、
「忘れよう」と努力するのではなく、
忘れられる時が来るまで
自然に任せておいたほうがいい。
自分や他人ではなく、
すべて「時」が解決してくれる。
禅の世界では、
常に「今」だけ を見つめ続ける。
今に集中していれば、過去に戻って反省を
繰り返すことも、みらいに不安を抱くこともない。
悩んだときは、今に集中すること。
過去も未来も気にせずに、今を生きてい
—それが究極の「忘れる」状態だといえる。
ただし、
こういう境地になれるかどうかが問題だ。
今日一日の人生を大切に!
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