◇ 人間の脳と記憶に関する
先駆的な研究は1985年に遡ります。
ドイツの実験心理学者、
ヘルマン・エヴィングハウスは
時間の経過とともに、
その記憶が急速に失われることを
実証しました。
その経緯をグラフにしたのが,
有名な
「エヴィングハウスの忘却曲線」
として知られています。
◇ 学習直後を100%とした場合
→→ 20分後に42%忘却
→→ 1時間後に56%忘却
またエヴィングハウスによると、
人間の脳は、
・危険を避ける
・食物を得る
・子孫を残すための情報
以外は峻別して
自動的に消去しているそうです。
なるほど、
生きていく上で最低限必要な情報は、
忘れずに記憶されているということになります。
言い換えれば、
人間の脳は積極的に「忘れる」ことによって、
大脳皮質の「考える」働きを
活性化させているということです。
◇ さて、ここでATMと暗証番号にかかる
日常的な現実について考えてみます。
IOT化した現代社会では、
高齢者といえども頻繁にATMや
クレジットカードを利用せざるをえません。
登録されている暗証番号で
使われている四桁数字の利用頻度は、
コンサルタント会社の調査によると、
ランキングトップは
「1234」で、なんと10.7%、
ついで「1 1 1 1」 6.0%
「0 0 0 0」 1.9%
「1 2 1 2」 1.2%
「7 7 7 7」 0.7%
これらが トップファイブ。
したがって、
このトップファイブを使用すれば、
20%の確率でパスワードを
突破できることになります。
この結果を踏まえて、金融機関は、
連続した数字などを暗証番号に
使えないように変更をしました。
高齢者に優しい番号は
いまはもう使えないのです。
◇ また高齢者では7桁以上になると、
急激に記憶の正確さが落ちることが
明らかにされています。
海外の実験事例でも人間の脳が
記録できる数字の桁数は限度があって、
成人でほぼ7±2桁までとされています。
この原則がATMの暗証番号や
クレジットカードのパスワード、
郵便番号にも反映されています。
また野村総研のデータによると、
一人の人間が扱えるパスワードは
平均して3組までとされているのです。
◇ IOT社会において、
これからセキュリティはさらに厳しくなり、
パスワードも複雑化する一方ですが、
人間の脳はこの流れについていけません。
特に高齢者の方にとっては死活問題です。
しかしそういったことは無視して、
安全性の観点から
先日、内閣官房の
内閣サイバーセキュリティーセンターは、
「パスワードは英語と大文字と小文字、
数字、記号を組み合わせて、
少なくとも10桁にするのが望ましい」
という見解を発表しました。
しかしこれはもう不可能の域に達してます。
◇ そこで有効になってくるのが、
指紋認証、網膜認証、顔認証システムです。
網膜や掌の静脈は、ほぼ100%の確率で
本人を特定できるそうです。
トンビは仕事以外で、
すでに暗証番号の数が60を超えています。
ここまでくるともう覚えることはできません。
パスワードの欄を見ると、もうウンザリです。
何をするにも、まずパスワードの入力を求められ、
ここを突破しないと先に進めません。
作業効率もここで落ちてしまいます。
とにかく網膜や顔認証に早く変えて欲しい、と
願ってやみません。
<今日の名言>
活動的な無知ほど怖いものはない。
ゲーテ
*行動力のある無知な人には要注意。
今日一日の人生を大切に!
コメントを残す