「明日伸びんがために
今日は縮むのであります」
浜口雄幸(おさち)
◇ 浜口雄幸氏は土佐国長岡郡出身。
官僚でありながらその風貌から
「ライオン宰相」と呼ばれ、
大正から昭和の激動の時代に
首相にのぼりつめた方である。
当時日本はデフレの真っ只中にあり、
国内の経済問題が短期間では
好転するとは思われず、
長い苦悩に耐えた後に、
日本の経済構造が改革されると
考えていた。
今日はそのために縮もうと。
◇ 同じような詩で、
20年ほど前に亡くなった俳人、
正木浩一氏に蛍の一句がある。
「明滅の 滅を力に 蛍飛ぶ」
明も滅もない蠅や蚊も飛んでいるのだから、
生物学的にそんなことはありえない。
しかし蛍の飛んでいるところを見ていると
そんな気になるから不思議だ。
じっと身をかがめて力を蓄える
「滅」の時節が、
人の一生には幾度となく訪れる。
自身には飛ぶための準備であっても、
はたから見ればおそらくは
負け犬と映っているかもしれない。
長らく「滅」の時期が続いていても、
明日伸びるために苦悩に耐えているのであれば、
いずれ光が見えてくるはずだ。
今はこの「滅」の力を信じるのみ。
◇ 一時は経営危機も取り沙汰された
日産自動車が、カルロス・ゴーン社長のもとで
業績のV字回復を果たしたとき、
よく似た言葉を株主総会の会場に掲げた。
「最も深くかがむ者が、最も高く飛躍できる」
これはまさに苦境に陥った者に対する
「エール」なのだ。
そのカルロス・ゴーン氏が、
仏ルノーと日産自動車の統合に向けて
また動き出した。
合意成立は難航する可能性が大であるが、
必ず飛躍できるチャンスが巡ってくる。
「明」のための「滅」の力を信じてやまない。
<今日の名言>
悲観主義者はすべての好機の中に困難を見つける。
楽観主義者はすべての困難な中に好機を見出す。
ウィンストン・チャーチル
*好機を見出す方がお得です。
今日一日の人生を大切に!
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