◇ 城山三郎氏の遺稿でもある、
亡き妻・容子さんに宛てた
「恋文」ともいえる文書は、
のちに刊行されたので
題名をご存じの方もいるかもしれない。
「そうか、もう君はいないのか」
家族を亡くした経験を
持つ人ならば、
亡くなったあとに、
喪失感が時間差攻撃で
訪れると、耳にしたことがある。
葬儀を終え、
遺品の整理を済ませ、
日常の生活に戻りかけたとき、
ふとした拍子に
そのことを思い知る。
◇ トンビはまだ肉親を
亡くしたことがないので
よくわからないが、
「そうか、もう・・・・」
これが結構こたえるらしい。
「五十億のなかで、
ただ一人「おい」と呼べるおまえ・・・」
とは城山氏の遺稿の一節だか、
子供であれ、父母であれ、
遺族にとっては、
「五十億の中でただ一人」の人である。
心の空洞を涙で埋めたい、
そんな夜更けもあるだろう。
「先立たれるより
見送ってもらいたい」
とトンビは思うが、
そうはなかなかうまくいかない。
◇ うまく先に逝った男たちの
最後の言葉を紹介する。
森鴎外・・・
臨終の昏睡に陥る前に、
最後につぶやいた。
「ばかばかしい!」
井上靖・・・
見守る家族に最後の言葉を残した。
「臨終とはこういうことだ。
しつかり見ておきなさい」
徳川夢声(話術家)・・・
死の床で、夫人に呼びかけた。
「おい、いい夫婦だったなあ」
◇ それぞれに最後の言葉は、
味わい深い。
共通するのは、
自分もしくは
自分が残していく家族に
最後の眼差しを向けていることだろう。
トンビが一番共感するのは
「森鴎外」
多分人生の最後に
彼は吾りを得たのだと思う。
そろそろ考えておかなければ・・・
最後の言葉を。
<今日の名言>
十分に終わりのことを考えよ。
まず最初に終わりを考慮せよ。
レオナルド・ダビンチー
*人生の終わりは「死」です。
どのように死を迎えるかを考えよ、
ということでしょう。
今日一日の人生を大切に!
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