「ピンピンコロリ」の時代を生きる vol.589

 

◇ 老化を防ぐ研究が着実に進んでいる。

 

米ワシントン大学の教授らが

老化を抑える働きを突き止めた長寿遺伝子。

 

これがつくる酵素がカギを握る。

 

誰にでもある酵素だが

加齢で次第に機能しなくなり、

老化するとみられている。

 

教授らはこれらの酵素の

働きを保つ生体物質NMNに注目。

 

枝豆などにもわずかに含まれる物質で

日本企業が大量生産に成功。

 

一部は市販もされているが、

実際に人が摂取して臓器などの

老化を防げるか研究している。

 

マウスでは効果を確認しており、

「人間でも23年で証明できる」

と教授はいう。

 

近い将来、

死の直前まで健康に生きる

『ピンピンコロリ』が増殖することになる。

 

◇ 米スタンフォード大学の日本人教授は

     ブタの体内で人の膵臓(すいぞう)の

     作製を目指す。

 

膵臓ができないように

遺伝子操作したブタの受精卵に、

 

人のあらゆる細胞に育つ

iPS細胞を混ぜれば、

 

生まれたブタの体内に

人の膵臓ができるとみる。

 

日本政府が2019年にも規制を

緩和するのを待ち、

日本で研究を申請するつもりだ。

 

◇ 国際電気通信基礎技術研究所が

    開発しているのは脳波で操る

    ロボットアーム。

 

「動け」と念じると、

   脳から検知した電気信号を

   帽子のセンサーでとらえ、

3本目の腕」が動く。

 

主幹研究員は、

 

「人の脳には3本の腕を

       同時に動かす能力がある」

 

と進化に期待する。

 

◇ 狩猟採集社会では多くの人が

    ケガで命を落とした。

 

農耕社会に移り、

20世紀に抗生物質が見つかり

感染症が激減。

 

平均寿命は記録が残る約300年間で

40歳弱から80歳超まで延びた。

 

◇ 人口学が専門の明治大学特任教授は、

 

「人間は最期まで健康で

   潜在能力を最大限発揮しようとする

  稀有(けう)な生物になりつつある」と話す。

 

老いの抑制、臓器の交換、

そして脳と機械の融合が進めば、

2050年には不老不死に近づく。

 

「老後」が死語になれば

「支える側」として働き続けることが求められ、

社会保障の考え方そのものが変わる。

 

◇ 日本経済新聞が若手研究者約300人に

   「人間の寿命は何歳まで延びるか」

    と尋ねたところ、

 

150歳」が最も多かった。

 

家族も4世代、5世代が

同じ時代を生きる終わりなき社会。

 

一方で50年に日本人の死因で

最多になる死因を尋ねると、

 

自ら生の長さを決める

「自殺」がトップだった。

 

◇ ここで古代ローマの哲学者

    セネカの言葉を紹介する。

 

君たちの生はたとえ千年以上続くとしても、

   必ずや極めてわずかな期間に短縮される。

 

セネカは人々の生の浪費を嘆いた。

 

死があるから生がある。

 

限られた生の中で

「善く生きること」の意味を

いにしえから哲学者は問い続けた。

 

死が遠のけば遠のくほど、

私たち人類に問われるのは

一瞬で過ぎ去り続ける生のあり方だ。

 

「ピンピンコロリ」

果たして幸せかどうはわからない。

 

 

今日一日の人生を大切に!

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