麻酔を発見した男達の末路 ⑧ vol.573

 

◇ 麻酔という世紀の発見をしたものの、

     全く報われなかったウェルズ。

 

そのウェルズから麻酔を盗み出し、

特許まで取得したにもかかわらず、

目的の金儲けに失敗したモートン。

 

彼らは一体どうすれば良かったのだろうか。

 

◇ ウェルズは自身が発見した麻酔を

     独占するつもりもなく、

 

それによって金儲けをしようとも

考えていなかった。

 

患者を痛みから解放したいという

純粋な思いがあり、

 

医学の歴史に自らの名前が記されれば

それで満足だった。

 

そのため、麻酔を無償で

仲間の医師たちに伝授したし、

公開実技で広めようともした。

 

「医は仁術」であり、

特許を取得して金儲けをすることなど、

考えもしなかったのである。

 

しかし、たとえ金儲けをするつもりがなくても、

ウェルズは特許を取得するべきであった。

 

なぜなら、特許を取得した上で、

使用料を無償にして

全ての医者に開放することで、

 

患者が痛みなく手術を安価で

受けることができるようになる。

 

また、特許を取得することで、

発見者としての名誉も

守ることができたはずだ。

 

仮にモートンの特許が

有効に維持されていたら、

 

麻酔はお金に余裕のある人だけが

受けられる「高価な医療」となり、

 

外科手術も思うように

進歩しなかったかもしれない。

 

  モートンが医療特許という

    パンドラの箱を開けたことで、

「医学は算術」となってしまった。

 

しかし、パンドラの箱の底に

「希望」が残されていたように、

 

医療特許が「仁術」としての医学の発展を

加速させていることも確かなのだ。

 

◇ 実はウェルズやモートンより早く、

    麻酔を使った先駆者はいた。

 

しかしそれは世界には広がらなかった。

 

ウェルズが発見し、

モートンが広めたことによって、

人類は誰もが麻酔を受けられるようになった。

 

しかし、2人には名声も富も

与えることなく、

 

2人は共に非業の死を遂げさせることに

なってしまったのである。 

 

だが、ウェルズは一つだけ

恩恵を受けていたのかもしれない。

 

◇ ニューヨークの刑務所で

   自殺したウェルズの姿は異様だった。

 

血の気を失い奇怪な仮面を付けたような顔、

口にはシルクのハンカチが押し込められ、

傍らにはクロロホルムの瓶が転がっていた。

 

ウェルズは密かに持ち込んだクロロホルムで、

自分自身に麻酔をかけていたのだ。

 

麻酔はウェルズに名誉も富も与えなかったが、

痛みを感じることなく自ら大動脈を切り裂き、

命を絶つことを可能にした。

 

これが「麻酔の発見者」に与えられた

唯一の恩恵だったのである。   

 

 

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