よく歩く人は肺炎やインフルエンザでの死亡リスクが低下 vol.449

 

 

◇ 1日に1時間以上歩く高齢者は、

     肺炎やインフルエンザで

      死亡するリスクが低いことが、

 

日本人を対象とした

大規模な疫学研究で明らかになった。

 

◇ 肺炎は、先進国における

    死因の上位に位置しており、

 

特に65歳以上の高齢者に

肺炎による死亡が多いことが知られている。

 

これまでにも、

よく歩く人や活発に運動する人は

肺炎リスクが低いという報告はあった。

 

しかし、高齢者には慢性疾患の患者が多いため、

積極的に運動するのは難しい人が少なくない。

 

そこで北海道大学の鵜川重和氏らは、

日本の高齢者を対象に、

 

心筋梗塞または脳卒中の経験が

あるかどうかを考慮しながら、

 

日常的な歩行時間が肺炎または

インフルエンザによる死亡と

関係するかどうかを検討した。

 

日本人のがんリスクの評価を目的とした

疫学研究「JACCスタディ」に参加したのは、

 

65~79歳の日本人 2万2280人
(男性9067人、女性1万3213人)

参加者には、この研究への参加を決めた時点で、

 

さまざまなライフスタイルに関する質問とともに、

1日の歩行時間を尋ねた。

 

質問は次の通り。

 

「平均すると1日にどのくらい

   屋内または屋外を歩いていますか?」

 

回答は「0.5時間未満」「0.5時間」

「0.6~0.9時間」「1時間以上」

の中から選択。

 

また、心筋梗塞または脳卒中の

経験についても尋ねたところ、

1894人がこれらのいずれかを経験していた。

 

内訳は、

心筋梗塞のみが 1210人

脳卒中のみが 604人

これら両方が 80人

 

1日の歩行時間が1時間を

超えていた人の割合は、

 

心筋梗塞と脳卒中のいずれも

経験していない人では 50.4%

心筋梗塞の経験者では 41.8%

脳卒中の経験者では  33.9%

であった。

 

12年の追跡期間中に死亡した人のうち、

1203人(男性731人、女性472人)の死因が

肺炎またはインフルエンザであった。

 

◇ そこで参加者を、

     心筋梗塞と脳卒中の経験の

    有無によって3つのグループに分け、

 

1日の平均的な歩行時間が

0.5時間のグループを参照群として、

 

肺炎またはインフルエンザによる

死亡リスクの検討を行った。

 

【心筋梗塞と脳卒中の経験がない人たち】

 

→1日の歩行時間が0.5時間の

グループと比較して、

 

1時間以上歩行していたグループの

肺炎またはインフルエンザによる

死亡リスクは10%低くなっていた。

 

反対に、歩行時間が0.5時間未満の

グループのリスクは、

参照群より 33% 高くなっていた。

 

【心筋梗塞の経験者】

 

→1日の歩行時間が0.5時間のグループに比べ、

1時間以上歩行するグループの肺炎

またはインフルエンザによる死亡リスクは、

 

34% 低いことがわかった。

 

【脳卒中の経験者】

 

→1日1時間以上歩行していたグループに、

参照群と比較したリスク低下は見られなかった。

 

一方、1日に0.6~0.9時間歩行する

グループの肺炎リスクは、

 

35% 低くなっていた。

 

◇ なぜこうした結果になったのかは、

    明らかにはならなかった。

    

しかし、以上の調査結果は、

高齢者が1日に1時間以上歩くと、

 

肺炎またはインフルエンザによる

死亡リスクが下がる可能性を示している。

 

高齢になればなるほど

運動はおっくうになるが、

 

もし長生きしたい、

肺炎やインフルエンザごときでは死にたくない、

 

と思われる方は、適度な運動が必要だ。

 

しかし頭がボケて家族に迷惑かけるより、

インフルエンザの方がいいという人は、

 

家の中で、ぐうたらぐうたらしておくのも

ひとつの戦略かもしれない。

 

どちらを選択するかを

今から考えていた方がよさそうだ。

 

 

今日一日の人生を大切に!

 

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