働くアリと働かないアリ vol.285

 

◇ イソップ童話「アリとキリギリス」

    描かれているアリは大変働き者です。

 

しかし、北海道大学の長谷川准教授らは、

働くアリばかりを集めると

必ず働かないアリが出てくる現象を

実験で立証しました。

 

働かないアリがいるから、

不測の事態に対応できると

みています。

 

グローバル競争に負けないようにと

効率性ばかりを追求する人間社会ですが、

 

アリの社会に潜む巧妙さを

見習うべき点があるのかもしれません。

 

 

◇ アリのなかにも働かないアリがいるのは、

    これまでも知られていました。

 

しかし今回の研究がユニークなのは、

働くアリだけを集めて飼育観察したところ、

 

ほとんど働かないアリが10%の割合で

でてくることを突き止めたからです。

 

働かないアリは、

何も怠けて働かないわけではありません。

 

周りに働いているアリがいなければ働くし、

働くアリと大きな能力の差があるわけではない

ことは実験でも証明済み。

 

◇ では、なぜ、必ず一定の割合で

     働かないアリが存在するのか。

 

長谷川准教授は生き物も疲れる点に

着目しています。

 

「疲れて働けなくなったアリが出てきた時に、

                          代わりに働くためではないか」

 

との仮説を立てました。

 

もし全員が猛烈に働き疲れはててしまうと、

 

突然巣に敵が侵入してくるなどの

不測の事態が起きたとき誰も戦えず、

巣は滅びてしまう。

 

絶滅リスク回避を最優先して

 

「あえて効率の低い仕組みを採用している」

 

ということになります。

 

「多様性がある集団は有事にも強く、

   巣を長く存続させるために重要な

   戦略となっているのではないか」

 

と言われます。

 

◇なるほど、これはアリだけではなく

   人間社会にも大変参考になります。

 

そう言えばむかし読んだ「組織論」

という本の中にもこのようなことが

書いてありました。

 

「ある程度余裕をもって人材を

    確保しておくと会社が長続きする」

 

変化に対応するためには、

余分な経営資源や人材が必要とする考え方は、

組織論の研究からも裏づけられています。

 

◇ 仕事の成果が出ない社員に

    あまり目くじらを立てることは

    よくないことかもしれません。

 

もしかしたら彼らは、

トップ集団が疲れてきたときに、

威力を発揮する人材なのかもしれません。

 

アリ社会はそんなことを

我々人間に教えているのです。

 

 

<今日の名言>

まず名前、そして顔が思い出せなくなる。

次にズボンのジッパーを上げるのを

忘れるようになって、

最後にジッパーをおろすのを忘れるようになる。

            ジョージ・バーンズ

 

*トンビはこのようになる前に

    死ぬことができるように

    不摂生に心がけています。 

 

今日一日の人生を大切に!

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