「最後の船場商人」の経営訓    vol.176

 

◇ 本日ご紹介する一冊は、

    久々の絶版・掘り出し物。

 

    現在も寝具の製造・販売・卸として

    続いている和田哲株式会社の祖であり、

   「最後の船場商人」と言われた

      故・和田哲夫氏の教えを、

      孫の和田亮介氏がまとめた経営訓です。

 

      本書の初版が出されたのは1976年。

 

     すでに絶版になっており、

     トンビは中古の文庫本を1万円で

     手に入れました。

 

 いまはもう数倍に跳ねかがってますので、

 入手することは困難と思われます。

 

     タイトルにある

    『扇子商法』というのは、

      広げてもすぐに縮められる、

     という意味から名付けられたもの。

 

     そのポイントは、好況ではなく

 

   「不況にピントを合わせる」こと。

 

     つまり、

           「人を増やさない」

 

             「借金しない」

 

              「無駄しない」

 

                          ということです。

 

   商売の基本を堅実に押さえつつ、

   攻めと守りのバランスの取れた考え方が、

    実に素晴らしい。

 

 少し本の中身を抜粋してみます。

 

暑い時にはいっぱい開いて使うけれども、

いらん時には小さくたたんでおくやろ。

 

 経営もこれと一緒

いつまでも続く好景気なんぞは

どこにもあらへん。

 

必ずつぎは不景気や。

 

反対に不況いうもんは、

必ず次の好況呼ぶもの。

 

それやよってに、

その時々にすぐ応じられるように、

常から準備しとかんならん。

 

ええ時はひろげ、わるい時はちぢめる。

 

言ってみればわけないことやが、

実はこいつがむずかしい……」

 

 お辞儀と挨拶、

 彼に言わせると、

 商人にとって一番大切な感謝の気持ち、

 

 これを相手にもっともよく伝える手段、

 この二つだという。

 

 お辞儀、挨拶 の次に大事なことは

 掃除 です。

 

 掃除が行き届いている家は栄える

 というのが持論だったから、

 それは徹底していた。

 

 彼は、機を失うよりも、

 考えの足らざることによって招く失敗を、

 より多く怖れたのである。

 

 当時流行った言葉に、

「流行のバスに乗り遅れるナ」

 というのがあった。

 

 彼は、

「あわてて満員のバスにのるアホはない。

 ボクやったらバスの行先、スピード、

 運転手の顔つき、乗ってる連中の顔ぶれ、

 席の空き具合までも確かめる。

 それに、バスはナニもそれ一台やないさかい……」

 

「学問した人は、とかく結論を先に出す。

結局何もでけへん。商売は理屈じゃないよって、

やってみなわからへん。何とかしようと努力

し精出す、そこにおのずと道が開けて来るもんや」

 

「それとナ、たいていの人は

 これ商売したらナンボ儲かる。

 これボロイと思う。

 

 つまり儲けを先に考えるやろ。

 

 僕は逆や、ナンボの損ですむか、

 その計算先にする。

 

 下手しても、これくらいの損やったら

 別条ないと思った時、はじめて心を決めるんや。

 

 そうしとけば、ーいつだって左枕やないか」

 

 

「人生一生のうちで、苦労する量は誰も同じや。

 

 ただ人によって、その苦労を人生の前半でするか、

 後半でするかの違いやろ。

 

 ところが前半の苦労と、後半の苦労とでは、

 同じ苦労でも、その結果はえらく違う。

 

 前半の苦労はクスリ、後半の苦労は毒になる。」

 

◇ 商売には流行り廃りはありますが、

     商売に臨む姿勢には、いつの時代にも

     通用する勝利の法則があるようです。

 

     いまの景気は、

「扇子がいっぱいいっぱいに開いた状態」に、

トンビには見えてなりません。

 

  そうであれば、次に来るのは

  間違いなく「不景気」です。

 

    いまから不況にフォーカスして

    準備しなければなりません。

 

*今日一日の人生を大切に!

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