中国人の歴史認識⑤  vol.1114

◇ 中国の王朝でいえば

 明代半ばにかけて、

 

 西ヨーロッパは

 激動の時代をくぐり抜けていた。

 

それに引きかえ中国は、

 

政治機構にしろ、

 

経済の運営にしろ、

 

軍事思想にしろ、

 

ほとんどの分野をとっても

西洋諸国に見劣りがした。

 

◇ アヘン戦争で中国が敗れた

  根本的な原因は、

 

 中国という国の後進性にあった。

 

 中国の武器も軍隊もその防衛力も、

 まるで中世のままだった。

 

政府も中世の政府で、

知識層を含む民も中世の民だった。

 

中国は奮戦したが、

それでも敗れた。

 

それは当然かつ不可避の

結果だった。

 

◇ 重大な歴史的出来事、

 

 心に深い傷を残す

 トラウマなるもの、

 

 過去の栄光の

 そのどちらも、

 

民族などの大規模集団の

特徴を決める重要な要素となる。

 

その集団が過去に、

損失敗北

あるいは、激しい屈辱

被った場合、

 

それらの出来事が

心に残すトラウマは、

 

その集団の

アイデンティティ

一部となり、

 

集団のメンバーを

より固く結束させることになる。

 

◇ 大規模集団の

 アイデンテイティの仕組みと、

 

その集団が紛争時に

「どのように振る舞うか」

理解するには、

 

その集団が過去に

「どのような栄光」

 

「トラウマ」

 選び取ったのか、を

 

理解することが重要となる。

 

◇ そうした選民意識とトラウマが

 複合した心理構造は、

 

 国民のアイデンティティを

 形作る上で、

 

決定的な役割を

果たしているのである。

 

特に、中国人の

「選び取られた栄光」

しつかりと理解しておかなければ、

 

「選び取られたトラウマ」

充分に理解することはできない。

 

◇ 自分たちは選ばれた

 民族であるという 選民意識

 

 それに関する 神話

 

そして過去の体験に関する

トラウマという三つの要素は、

 

社会の中でお互いに

補強し合う関係にあるのである。

                              つづく

 

 

今日一日の人生を大切に!

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