歴史にみる教育のあり方⑭ vol.1090

学問を実地に試す

 薩摩の郷中教育は

「詮議」といものを生み出した。

 

「詮議」とは、

 実際にはない状況を

 頭の中で仮想させて、

 

対処を考えさせる

いわゆるシュミレーションの

ことである。

 

たとえば、

 

殿様の急用で使いをして、

早馬でも間に合わない場合は、

どうするか?

 

先輩たちが幼い子に聞く。

 

幼い子がちょこちょこ前に出て、

 

早馬の後ろから針を持って、

馬の背中をちくちく刺します。

そうしたら、いつもより速く走ります。

 

などと答える。

 

この回答は、

のちの初代文部大臣、

 

森有礼(ありのり)が

実際に答えたものである。

 

小さいことでもいい、

 とにかく考えさせる。

 

「事が起きる前に、

 事態を想定して考えておく」

 

これは戦争や外交に臨む人たちや

政治家の育成には極めて重要である。

 

起きる前に考えておく、

これが薩摩の「詮議」であった。

 

こんな詮議もあった。

 

館の横の馬場を通行していて、

石垣の上からつばを吐きかけられたら、

どうするか?

 

この問いに

 

直ちに門から入り、

つばを吐いた人間をとっちめる。

 

と答えた者は不心得とされる。

 

石垣のすぐ下を通るから

つばをかけられるなどの無礼にあう。

 

道の真ん中を歩くようにしろ!

 

常にそれぐらいの知恵をもって

油断なく日々の一挙手一投足を考えよ。

 

という答えが正しい。     つづく

 

 

今日一日の人生を大切に!

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