◇ 民俗学では、七五三、入学式、
成人式、結婚式など、
特別な意味を持つ場を
「ハレ」と称している。
また、年中行事においては、
お正月やお盆なども
この「ハレ」にあたる。
古来より、日本人は、
普段通りの日常を「ケ」の日、
祭礼や年中行事などを行う日を
「ハレ」の日と呼び、
日常と非日常を使い分けていた。
◇「ハレ」の日には、
晴れ着を着たり、
神聖な食べ物である餅や赤飯を食べたり、
お酒を飲んで祝ったりして、
特別な日であることを示した。
祭りの華やかさ、行事の晴れやかさ、
ケガレを落とした後の清々しさが
「ハレ」であり、
「晴れ晴れ」「晴れ着」「晴れ姿」など
「ハレ」の気持ちを表した言葉が
たくさんある。
◇ 「ケ」は普段通りの生活を
送る日だが、
日常生活の「ケ」がなく、
毎日がお祭りの「ハレ」だったら、
それはそれでつまらないものに
なってしまう。
◇ また、陰鬱な気持ちや
何かよくない力、病気や死など、
「ケ」の生活が順調にいかなくなることを、
「気枯れ」=「ケガレ」といって忌み嫌い、
禊ぎ、清め、祓い などをした。
「ケガレ」を落とし、
単調になりがちな生活に
「ケジメ」をつけて、
「ハレ」の日を迎える。
そうした物事の繰り返しで
暮らしが成り立っている。
◇ 日々の生活に、
「ハレ」と「ケ」があるように、
一人の人の日々の中にも
光の部分と影の部分がある。
悪いことが起こると
「明日はきっとよくなる」と
自分を励ましたり、
よいことが起こると
「いいことばかりではない」と
喜びすぎるのを戒めたりする。
まさに
「禍福はあざなえる縄のごとし」だ。
◇ この感覚は、
日本人の暮らしのメリハリや
心の影響と深いかかわりを持っている。
「ケ」があるから
「ハレ」が引き立つ。
何事もこのように捉えれば、
コントラストのある日常を
より楽しめるのではないだろうか。
今日一日の人生を大切に!
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