◇ 名著『ビジネスマンの父より
息子への30通の手紙』に、
ホットドッグ・スタンドを経営する、
ある老人の経営者のエピソードが出てくる。
ニューブランズウィック州にある、
その老人のおいしいホットドッグの噂は、
数マイル四方に知れわたっており、
経営には何の問題もないかのように見えた。
老人は客を戸口の前でにこやかに出迎え、
ホットドッグを勧める。
パンは焼きたて、
薬味のピクルスは歯ごたえがよく、
マスタードの風味は絶妙で、
玉ねぎの煮えぐあいもぴったり。
それを笑顔で差し出す
ウェイトレスも感じがいい。
◇ そこに、ハーバード大学で
経営学の修士号と経済学の博士号を
取った息子が帰ってきて、こう言った。
なんということだ!
父さんにはいまがひどい景気の後退期だ
ということがわからないんですか?
コストの削減が必要です!
広告板の使用をやめ、
宣伝費を浮かせましょう。
六人の人員は二人にして
労働費用を節減しましょう。
父さんは道路わきで時間を無駄にしないで、
調理を受け持つのです。
仕入れ先には、安いパンやソーセージを
よこすように言いましょう。
マスタードとピクルスは安い品に変え、
玉ねぎはいっそのこと抜きましょう。
◇ 結果、店には閑古鳥が鳴き、
二カ月後、帰ってきた息子に
商売の調子はどうかと聞かれ、
老人はこう言った。
おまえの言うとおりだった!
たしかにとんでもない不景気時代だよ。
◇ このエピソードを受けて、
著者のキングスレイ・ウォード氏は
こう解説する。
わかるだろうか、
老人は起業家だったが、
ある限界があった。
彼は客の求めるものがわかっていた。
しかしほんとうの起業家であるための
基本的な資質のなかで、
彼に欠けていたのはただひとつあった。
自分の信念を守る勇気だった。
◇ 長々と紹介したが、
「人は威厳のありそうな
人の意見に耳を傾ける」
たとえば、大学の教授とか
大手の経営コンサルタントの
アドバイスとか。
しかし、起業家にとって、
経営者にとって、
もっともやってはいけないことは、
他人に自分たちの代わりに考えさせるとだ。
何事をやるにしても、
しっかり自分で考え、
確固たる信念が必要だ。
<今日の名言>
自分がなりたいと思うような人間に、
既になった気持ちで行動せよ、
間もなく必ずそうなる。
ジョージ・クレイン
*自分の夢がすでに実現したかのように、
振舞うことが究極の夢の実現方法と
ということになります。
今日一日の人生を大切に!
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