地震発生の前兆「宏観異常現象」とは何か ①  vol.800

今年に入ってから、

  北関東周辺や東京湾、

 

 さらに茨城沖などを中心とした

 地震の発生が相次いでいる。

 

南海トラフ地震の発生ばかりに

注目が集まっていた昨今だが、

 

首都・東京の周辺で頻発する

地震が発生するたびに、

 

SNSなどには、

「首都直下型地震の発生が近いのでは?」

と不安視する声が少なくない。

 

さて、地震の発生前に、

  その前兆」とも言える現象が起こる

  という話をご存じだろうか。

 

それが「宏観異常現象」 
(こうかんいじょうげんしょう)

と呼ばれている現象だ。

 

大きな地震の前触れとして発生、

または知覚され、

 

生物的、地質的、

物理的異常現象のことをいう。

 

例えば、

 古くから言い伝えられているのが、

 

「水槽のナマズが騒ぐ」

 

「カラスの鳴き声がいつもより多い」

 

「ネズミが大移動する」

 

といったもの。

 

こうした動植物の異変と地震を

結びつける言い伝えや俗信は

日本全国にあり、

 

実際に研究をおこなっている

大学や研究機関も少なくない。

 

日本ではナマズと地震の関係が

  古くから注目されている。

 

日本中で言い伝えられている

俗信や迷信などを集めた

『日本俗信辞典 動・植物編』を紐解くと、

 

(なまず)」の項に、

以下のような記述がある。

 

『安政見聞誌』の上巻に、

安政二年の江戸の大地震の際、

 

ナマズの騒ぐのを見て地震の来るを知り、

難をのがれた男の話が載っている。

 

一説に、ナマズは地震前の

  地電流に敏感に反応し

  騒ぐのではないかといわれる。

 

やはり江戸の時代から

「ナマズが騒ぐと地震が近い」

という俗信が信じられていたようだ。

 

江戸時代には大ナマズが

  地下で暴れることで大地震を起こす

 という民間信仰があり、

 

安政の地震以降にナマズが大暴れする

様子を描いた「鯰絵(なまずえ)」と

呼ばれる多色刷りの浮世絵が

多く残されている。

 

地震だけでなく、当時の世相を

皮肉ったものや、

 

幕府への不満なども込められているため

江戸幕府が禁止したという経緯も過去にある。

image by: 匿名Unknown author
 / Public domain 江戸時代の「鯰絵」)

 

 日本国内では今も昔も

 「ナマズ」が地震前兆の

  シンボルになっており、

 

先に出てきた『安政見聞誌』とは
    (あんせいけんもんし)

国立公文書館のHPによると

以下のような解説が出ている。

 

文明開化の世相を描いた

『安愚楽鍋(あぐらなべ)』などの

著者として知られる仮名垣魯文が著した
       (かながきろぶん)

安政江戸地震のルポルタージュ。

 

絵師は歌川国芳ほか。
(うたがわくによし)

 

新吉原で穴蔵に避難した

遊女が全員焼死した話や、

 

地震の前兆(鯰(なまず)の異変、

磁石が磁気を失ったこと)など、

 

災害時の心得や地震予知に関する

貴重な情報が記載されている。

 

江戸時代の安政3年に発生した地震にも、

当時の被害状況などを記録され、

出版されていたことに驚きを隠せない。   

            つづく

 

 

今日一日の人生を大切に!

 

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